【岐路 バスと観光 新たな関係 143】バスと観光のこれから12 高速バスマーケティング研究所代表 成定竜一


 ひと口に着地型のバスサービスと言っても、いくつかに分類される。

 一つ目が、狭義の着地型ツアーとも呼べるもので、地元在住で専門性を持つガイドらによる案内により、当地でしか味わえない体験を提供するものである。邦人客向けには、カヌーやパラグライダーといったスポーツ・アクティビティ、郷土史の専門家が案内する歴史ツアーのような知識習得型などが考えられる。FIT向けには、日本文化体験などが想定される。

 二つ目が、オープントップバスや水陸両用バスなど乗りもの側にエンターテインメント性を持たせる代わりに、下車観光地点を少なくし、ガイドによる案内もさほど専門性を持たないタイプの商品だ。FITが初めて訪問した都市でそのアウトラインをつかむのに適している。従来の定期観光バスよりも短時間、低単価のコースが中心だ。

 三つ目が、特定の都市内や観光エリア内の観光集客施設を循環し、乗客は各施設で乗降自由の「ホップオン、ホップオフバス」である。制度上は1回あたりの乗車運賃も設定するが、中心的なのは「1日乗車券」の利用となるだろう。

 四つ目が、FITを想定した、広域のツアーである。東京発着で箱根や富士五湖へのワンデーツアーのようなものから、数泊の行程のものまで考えられるだろう。

 今のところ、二つ目のパターンについて、かなりの数の都市で成功事例が見かけられるようになった。日の丸自動車興業の「スカイバス東京」などである。

 長距離を走る都市間高速バス用の2階建て車両が古くなってきたときに、オープントップ車に改造し、万一の故障などの際にも対応しやすい近郊のみを走行するコースに転用する、という事業者側の都合もある(大阪や広島の事例)。

 観光地エリアでは、富士急行の水陸両用バス「KABA」(山中湖)の例がある。保守的な社風が強い地方の乗合バス事業者の意識が変われば、比較的容易に増加しそうだ。

 残る課題は、それ以外の三つのケースである。

 (高速バスマーケティング研究所代表)

 
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