もう一つは、ターミナルの発着便数を最大化する工夫である。
バスターミナルの構造は、敷地の面積や形状の制約を受ける。多くの新設バスターミナルは、ビルの1階などに設置されることが多いので、開口部や柱の位置や大きさなどについて、バスターミナルとしての希望を反映できる自由度が小さい。
そのため、バース(乗降口)の数や配置について、バスターミナルの運営者や乗り入れるバス事業者側としては、ビル全体の設計の範囲内でしか変更させることができない。
一方、待合ロビーや窓口の配置については、ビル全体の工事が始まって以降に変更することもあるし、乗り入れ事業者らの希望もある程度反映させられる。
ターミナル設置者は、限られたスペースやバース数の中で、発着枠を最大化することを考える必要がある。発着枠の最大化とは、先に述べたように、1日に発着可能な総便数を最大化することではなく、需要の大きい特定の時間帯において、1時間当たりの発着可能数を最大化することである。
そのためには、ターミナルに乗り入れる高速バス路線の性格や乗客の属性をよく理解し、現場でのオペレーションをある程度想定しながら待合ロビーや窓口を設計することが必要である。少し専門的になるが、以下の通りだ。
まず、高速バスの発券・乗車オペレーションは、おおむね、三つに分類できる。(1)定員制(自由席)の路線(2)予約を受ける(座席指定制、予約定員制)が、発券期限を設けず乗り場での発券が多い路線(3)事前予約・発券が原則の路線│である。
当然、(1)は短距離路線、(2)は中距離の昼行路線に多い。夜行路線はおおむね(3)である。
なお、(3)のうち、高速ツアーバスからの「移行組」では、乗務員による乗車改札ではなく、地上係員が「チェックイン」を行うケースが多い。高速バスではなく、いわゆる「バスツアー」を受け入れる際も同様だ。
(高速バスマーケティング研究所代表)