中森プレジデント
新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
新天皇ご即位により令和元年となった2019年の旅行市場を振り返ると、ゴールデンウイーク10連休により、レジャー需要の高まりを見せ、海外旅行は日本人海外旅行者数が、4年連続で前年を上回り、訪日マーケットにおいては、ラグビーワールドカップを筆頭に活況な動きがみられ、過去最高水準で推移しました。
しかしながら、米中貿易摩擦やイギリスのＥＵ離脱を巡る不透明感により一部地域経済の失速を否めず、日韓関係の悪化による航空機の運休、減便、そして香港での大規模なデモの発生など、政治的背景による旅行業への大きな打撃も顕著に見られました。また、1841年創業の英トーマスクックグループの経営破綻は、われわれ旅行事業を営むものとして、旅行市場の大きな変化を感じさせられるとともに、学ばなければならないことが多くありました。さらに、台風による記録的な大雨による河川の氾濫など相次ぐ自然災害により広範な地域で甚大な被害が生じました。被災された地域の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。そして、沖縄の世界遺産である首里城の焼失は、地域に関わる多くの方々が心を痛めておられるかと存じます。重ねて心よりお見舞い申し上げるとともに、弊社も首里城再建に向けた支援を実施し沖縄県の観光振興に取り組んでまいります。
昨年は、お客さまに期待以上の満足をご提供できるよう、地方を含め需要を拡大させるチャーター便の就航やＨＩＳキャンセルサポートといった旅行予約早期化によるお客さまのリスク軽減といった新たな旅行検討につながる独自の企画サービスの造成を行いました。法人旅行事業では、食の海外進出支援といった地域活性化の実現に寄与する商社事業への挑戦を展開してまいりました。旅に出れば、楽しいことが待っているだけでなく、現地の実情にも触れる機会もあります。旅は、さまざまな驚きや衝撃を生むものであり、あらためて日本の良さや足らない部分を知る機会にもなります。ＨＩＳの世界のネットワークである海外69カ国165都市273拠点を生かし、どのような接点のお客さまであっても「安全・安心」な旅の提供を行ってまいります。
2020年は、東京オリンピック・パラリンピックイヤーです。旅行業界においては、旅行予約のタイミングなど例年のマーケットとは異なる動きを見せるのは間違いありません。一方、訪日旅行は、追い風となり、世界中から将来のリピーターを獲得する機会となります。ＨＩＳでも海外現地法人にてローカルマーケット向けに、日本の魅力をさらに発信していきたいと考えております。また、ホテル事業においても旅行会社だからできる送客力とホテル事業を通じて、日本各地の皆さまとともに地域活性化にも寄与してまいりたいと考えております。
旅行とは、平和産業であり、人と人、人とコト、地域・文化交流の機会を創出し、相互理解を深める事業として、旅をしなければ感じることのできない空気感や肌感覚、実体験からしか味わえない感動をお客さまにどのように提供していくか、今後の市場拡大には私たち旅行会社の役割が重要であると感じています。
私どもＨＩＳは、創業40周年目の年を迎えました。創業時の1980年にはたった390万人だった海外渡航者は、今では2千万人突破を現実として捉えることができます。しかしながらいまだ、日本の出国率は15％程度であり、パスポートの保有率も25％ほどと他国に比べても消極的です。日本を元気にするため、旅を通じて人類の創造的発展と世界平和に貢献してまいります。
本年も引き続き、エイチ・アイ・エスおよびＨＩＳグループへのご理解、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
