ガイドと巡るツアーが人気
兵庫県の湯村温泉は、今からおよそ1150年前に慈覚大師が発見したという古湯。ドラマ「夢千代日記」の舞台としても知られる。
ここ湯村を代表する名旅館「朝野家」(朝野泰昌社長)が強いこだわりを持つのが「サービス」。温泉街や、山陰海岸ジオパークを案内する着地型ツアーが国内外の観光客から人気を集めている。
特筆すべきは、ガイドを旅館が自前で調達することだ。朝野家には山陰海岸ジオパーク公認ガイドが42人在籍。ジオパークや緊急救命の深い知識を持つ社員ガイドが楽しく安全に観光客を案内する。ちなみに公認ガイドは町全体で46人というから、そのほとんどが朝野家に在籍していることになる。
2015年のスタート時は、35組、456人の宿泊客が利用。その後、直近の18年7月~19年6月の1年間は188組、4852人と、利用客が10倍以上増えた。台湾を中心に外国人宿泊客の利用も増えている。
湯村の温泉街を散策するツアーも楽しい。温泉の秘密や、地域住民の温泉利用法をガイドから聞くほか、98度の源泉が湧き出る温泉地のシンボル「荒湯」でゆで卵作りや飲泉体験、そして温泉熱を利用して作る生キャラメルの試食が受けている。「荒湯生キャラメル」は練乳を6~8時間、源泉で湯がいたもの。「アミノ酸と糖質の加熱により起こるメイラード反応で色が濃くなり、味と香りが良くなる」という。
朝野家では、温泉街の散策ツアーに同行するガイドの代金は、10人以上の団体の宿泊客の場合、無料になる(要予約)。
団体から個人、歓楽型から目的型へと旅の志向が変化する中、「豊富な体験メニューでお客さまに多くの楽しみを提供するほか、お客さまの滞在時間を少しでも伸ばすことで地域経済に貢献したい」という。
▽朝野家は兵庫県美方郡新温泉町湯1269。TEL0796(92)1000。http://www.asanoya.co.jp/
朝野家在籍の観光ガイド