あけましておめでとうございます。旧年は大変お世話になりました。
個人旅行が主流になってきている風潮は今年も続きそうです。昨年、最もマスメディアからの依頼があったのは「ひとり温泉」に関することです。「オズトリップ」では「温泉でのんびりひとり旅」特集が組まれ、文藝春秋から出ている女性誌「CREA」も今月発売号で80ページを割いて女性ひとり温泉特集が掲載されます。これには私も企画段階から参加しました。
ひとり温泉と言えば、私も2012年に「おひとり温泉の愉しみ」を刊行しましたが、発売当時よりもニーズが増しているようです。各温泉地や宿にリサーチをすると「特にここ1~2年でひとり客が増えています。男性は20代、30代、女性は30代、40代が目立ちます。皆さん、何もせずに部屋でくつろいでいるようですね」という話を聞きました。老舗温泉宿も料金は高くなるけれど、週末もひとり客を受け入れるようになったと聞きます。
関連取材で箱根仙石原にオープンしたばかりの「ネストイン箱根」を訪ねました。手つかずの森に佇むシンプルな宿泊施設はまるで別荘。見晴らしのいい客室には時計とテレビはないけれど、暖炉がありました。“大人の男の秘密基地”のような印象で、実際に男性のひとり客が多いそうです。料理がウリで特にパンと野菜とコーヒーがおいしく、温泉宿泊施設のイメージとは異なるものでした。ニーズが細分化されるなかで、今年はさらに多種多様の宿の出現がありそうです。
一方、昨年は私自身が体にメスを入れた後に本気の湯治を体験しました。20年近く温泉を取材してきましたが、この時ほど温泉の底力を感じたことはありませんでした。温泉は人に安らぎと力を与えてくれます。現在は、体を温めて未病という話題も多く聞かれますし、今年は「滋養と温泉」についての取材も進めたいと思っています。2泊3日くらいで気軽に行ける湯治について提唱しています。
観光に携わる皆さんの参考になるような話題をこちらの連載で書いていきたいと思っております。本年もよろしくお願い致します。
(温泉エッセイスト)