前回ご紹介しました城崎温泉西村屋で働くコリンさんから、城崎のインバウンドに関わるもう一人の外国人スタッフ・アナスタシアさんに会わせてもらいました。彼女は駅前の観光案内所「sozoro」にいます。アナスタシアさんもアメリカからやってきました。
コリンさんと同じくアナスタシアさんも温泉が大好きで、「“日本の田舎”に強く惹かれる」と言います。
アナスタシアさんのお母さんがアメリカから遊びに来た時の出来事です。
「母は恥ずかしいから入浴を嫌がりました。私は、誰も裸を見ていないよ、と説得して、私も一緒に入りました。入浴を一度経験すれば、母は大喜び。翌日は、自ら進んで入浴していました。『温泉に入ったことが本当にいい思い出だ』と、今でも言っています」
外国の方の温泉への抵抗感を薄めるためには、温泉入浴の心地よさ、どう効果があり、何を得られるか、温泉は日本文化そのものであることを丁寧に伝えるに限ります。
コリンさんとアナスタシアさんはこう言います。
「外国のお客さんに向けた温泉旅館マニュアルがほしい。滞在モデルスケジュールを示してあげられたら喜ばれると思います。浴衣の着方、宿での過ごし方、和食の食べ方、温泉の入り方、なぜ日本人は恥ずかしがらずに温泉に入るのか、何からなにまで丁寧に教えてほしいです」
簡単な旅館滞在ノウハウ本はすでに刊行されているようですが、外国人の目に付きやすい場所にないのが現実なのでしょう。例えば英語で書かれたノウハウ本を日本で製作し、日本の玄関口である空港やもしくは海外で販売するか。またはウエブ媒体の方が伝わりやすいかもしれません。
この時、私も含め3人で旅館や温泉の魅力を伝えきれてないもどかしさを語り合いました。温泉旅館に泊まることをキラーコンテンツにするには、まだまだやるべき課題がありそうです。
これからの温泉インバウンドには欠かせない存在のお2人です。
温泉好きな外国人を集めて、温泉会議でもやりたいものです。それをそのままインターネットで配信したい。もしくは、在日外国人で温泉好きの皆さんとサークルを作り、訪日外国人観光客に向けた街づくりのアドバイスをしてくれる方を探したいものです。
(温泉エッセイスト)