
本保氏
旅館の人手不足は、数の上でも深刻だが、旅館がヒューマン・タッチで成り立っていることを考えると、危機的といえる。
では、なぜ、旅館は他業界以上に人手不足に苦しんでいるのか。三重県が実施した大学生相手の観光業界就職意向調査の結果が面白い。宿泊業に関しては、ホテルよりも旅館が就職先として興味深いと答えている。その理由は、旅館が日本の伝統を大切にし、地域に根差しているからだそうだ。うれしい話だ。でも、何よりも休暇が取れず、そして給与が低いから魅力がないという。
とすれば旅館の人手不足対策は、はっきりしている。ちゃんと休暇を与えて、給与水準を上げれば良いのだ。そうすれば、間違いなく人は集まる。
こう言うと、そんなことをしたら経営的に行き詰まる、何を寝ぼけたことを言うのかという声が聞こえてきそうだ。確かに、生産性を上げ、部屋単価や稼働率を上げるなどの工夫をしない限り、社員の待遇改善で経営は行き詰まる。
しかし、生産性向上、経営改善は、経営の基本・本質だ。求人に悩むよりは、経営改革に苦しむ方がはるかに良いことだ。前向きで明るい未来を開くことにつながるからだ。
周りには、この方向での成功者がいるはずだ。変哲のないことを述べたが、自分の信ずるところだ。
本保氏