人手不足は旅館業だけに限ったことではなく日本全国で起こっている事象である。したがって企業において人手は減るのが必定なのであって「理を無視して今までのやり方を継続しようとするから、無理が生じている」だけのことである。
解決方法の一つ目は「業務整理およびIT化により今までのやり方を変えて業務の総量を減らすこと」である。これは辞めなかった従業員へのしわ寄せをも緩和し、ドミノ離職を抑止する効果もある。一方で他業種よりも人手の減り方が著しく感じられるのは、単に日本国における全業種業態の中で旅館業の給与水準が最低なためである。
解決方法の二つ目は「経営者が本気で利益額を改善する努力をし、給与に反映させること」である。販路とセールス体制を再整備し、マーケティングを実施し、販売価格と追加売上体制の見直しを実施しても売り上げが向上しなかった事例を私は知らない。
最後は「旅館で働くことはブラックである」という一般認識を、広報を通じて緩和することである。この三つ目の解決方法は二つに分岐し、「個別旅館」においては「ブランディングにより就職志望者を増やす」、「宿泊業界」においては「航空業界」を見倣い「業界広報により業界全体への志望者を増やす」活動をするだけのことである。
伊藤氏