アレルギーと一口に言っても、それにはいろいろあります。中でも食物、花粉、ダニが原因のアレルギーには多くの人が悩まされています。旅館ホテルにもこれらのアレルギー症状をお持ちのお客さまがお越しになることは十分考えられます。とりわけ注意が必要なのが食物アレルギーです。
●食物アレルギーへの対応
食物による病気で怖いのは食中毒ですが、同様に、注意しなければならないものがあります。それが食物アレルギーです。食物がある限り、いつどこで起きても不思議ではないのがこのアレルギーです。食べた直後から30分以内に発症するケースが多いとされます。では、旅館ホテルではそれにどう対応したらいいのでしょうか。まず大事なのが食物アレルギーを引き起こしやすい食品には何があるか、知っておくことです。その上で、お客さまに料理に使用する食材をわかりやすく示します。次に、お客さまからあらかじめ、アレルギーの情報を得ておきます。口頭で、食べられない食品を先に伺っておくことが大事です。「〇〇が食べられません」「〇〇ははずしてください」などと言われれば、該当する食材が使われているかどうか、調理場に確認します。
旅館ホテルにとって重要なのは、スタッフ全員が食物アレルギーに関する情報を共有することです。これを徹底しなければ、事故は起こる可能性が高まります。そのため、別のスタッフにただ言うのではなく、「他の人たちにも必ず伝えておいてください」と、徹底することが大事です。場合によっては命を脅かしかねないのが食物アレルギーです。スタッフの連携ミスが原因ではすまされません。
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■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。