【旅館ホテルのおもてなし 85】地震 大谷 晃


 日本は地震大国です。日本国中の地殻で活断層が縦横無尽に走っているため、どこで地震が起きても不思議ではありません。特にお客さまが滞在される旅館ホテルでは、いざという場合に備え、そのための対策を講じておくことが重要です。

 ●地震の発生時

 地震が起きると、恐怖に誰もが身がすくんでしまい、パニックに陥りがちです。そのような場合でも、スタッフはお客さまの身を守る使命を担っています。地震の最初の揺れは1分程度で収まることが多いので、まず自分がパニックにならないように、気をしっかり持つことが大切です。

 館内にいた場合は、机やテーブルの下、柱の周囲などに身を伏せます。近くにいるお客さまに「テーブルの下に伏せてください」「頭をかかえてください」と指示をしてから自身の安全を保ってください。

 揺れが小さいうちに、近くにある火の元を消します。

 揺れが止まったら、周囲をよく見回し、倒壊しそうな箇所があれば、近くにいるお客さまを誘導してその場を離れます。強い揺れで物が倒れたり、窓ガラスが割れたり落下したりすることがあります。その恐れのない場所にすぐに移動します。

 エレベーターが作動していても、使用しません。途中で止まると中に閉じ込められるからです。

 ●館内放送

 お客さまはどなたも不安におののいていらっしゃいます。パニックになる方も出てきます。責任者の指示に従い、お客さまへのお声がけと、パニック防止のための館内放送をすぐに行います。

 ●緊急時の指示・伝達

 スタッフは責任者の指示によって次のことを迅速に行います。

 ・火元、ガス、ボイラーの元栓を閉める。

 ・階段扉、自動ドア、非常ドアを開放する。

 スタッフは館内の被害状況を責任者に報告し、火災が発生している場合は、初期消火と同時に119番通報をし、消防車と救急車を要請します。

 責任者がお客さまの避難が必要と判断したら、スタッフはその誘導と非常搬出にあたります。

*    *

 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。


(観光経済新聞2025年4月7日号掲載コラム)

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第38回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2024年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月13日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒