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2024年後半から金融債務の取り扱いを含んだ資金繰りについての相談が増えている。既に、法的整理や私的整理、M&Aなどの方策を講じつつ生き残りをかけた動きも頻発しているのは事実だ。
〇まずは2025年の中小企業向け資金繰り支援について考察する。
コロナからの社会経済活動の正常化が進む中、経営上の課題は、売上減少から、人手不足・賃上げ・原材料費高騰等への対応にシフトしているのは周知のとおり。各種資金繰り支援策についても、経営改善・再生はもちろん、成長促進も含めて、多岐にわたる経営課題に対応できるよう見直すことが必要だ。
(1)コロナ禍で措置された「経営改善サポート保証(コロナ対応)」は、2025年3月まで延長し、その終了後は新たに措置される予定の「経営改善・再生強化型」を活用し、経営改善・再生計画を策定した上での借り換えが支援される。
(2)能登半島地震の影響が残る地域(※石川県内一部地域)においては、「コロナ借換保証」が2025年3月まで継続される。
(3)新たに措置される「プロパー融資を引き出す保証制度」(仮称)により、人手不足に対応する省力化投資など、多岐にわたる経営課題に対応した資金繰りを支援(プロパー融資とは信用保証協会による保証がなく、民間金融機関が実施する融資のこと)。
(4)日本政策金融公庫等の「コロナ特別貸付」は、2024年12月で終了後、その用途の多くが借り換えであることを踏まえ、新たに創設される「危機対応後経営安定貸付」で支援。小規模事業者に対しては、コロナ前から措置されている「小口零細企業保証」(100%保証)を活用し、借り換え等を支援。
(5)日本政策金融公庫等の「コロナ資本性劣後ローン」は、2025年2月まで延長し、その終了後に「通常資本性劣後ローン」について、省力化投資に取り組む事業者を対象に追加する等の見直しを行い、事業者の成長を支援。
(6)資材費等の価格高騰対策として実施している日本政策金融公庫等の「セーフティネット貸付」は、2025年3月まで継続。
〇次に前向きな中小企業にとって活用可能な補助金について(主に経済産業省のもの)。
(1)中小企業成長加速化補助金 売上高100億円を目指す中小企業の設備投資など。
(2)ものづくり補助金 生産性向上・賃上げ等に向けた新製品・新サービス開発の設備投資など。
(3)IT導入補助金 業務効率化、DX推進、セキュリティ対策ツール等の導入。
(4)持続化補助金 小規模事業者の経営計画に基づく販路開拓などを支援。
(5)事業承継・M&A補助金 事業承継設備投資やM&A等の専門家費用。
(6)大規模成長投資補助金 労働生産性の向上や事業規模拡大などに関する大規模設備投資。
(7)中小企業新規事業進出補助金 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出に必要な設備投資。
(8)省力化補助金 人手不足に悩む中小企業の省力化設備投資。
多くの方がご存じのことと思うが備忘のため。少しでも興味があればホームページ等で詳細確認の上、顧問税理士等に相談してほしい。
(EHS研究所会長)
(観光経済新聞2025年2月3日号掲載コラム)