【旅館経営ワンポイント講座 6】「自助」に関する三つの大切なこと 渡辺清一朗


 「クラウドファンディングで予定額を大幅に超える資金が集まりました。やってみるものですね」とか「事業再構築補助金が採択となり設備投資を伴う新たな事業に着手します。申請は思ったより難しくありませんでした」などといった話をよく聞く。まさに「天は自ら助くる者を助く」(自助論:サミュエル・スマイルズ著)を実践している好例だ。

 今年も企業経営者にとっては困難な時が続くが、「自助」に関する三つの大切なことをおさらいしておきたい。

 (1)コロナ克服・新時代開拓のための経済対策に係る観光庁関連予算 https://www.mlit.go.jp/common/001442842.pdf 

 この中にある「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化」は重要だ。昨年春に公募された「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」の2022年版と言えるもので、自治体・DMO・事業者などが連携して申請することを要し少々ハードルは高くなったが、補助率や補助金額が高くなっているほか、廃屋の撤去支援など新たな補助対象が加わっており観光事業者は使わない手はない。

 申請開始時期はそろそろのはずだから今から準備することをお勧めする。

 (2)事業再構築補助金:中小企業庁 https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

 現在、第5回公募が行われており3月24日が締め切りとなる。さらに、令和4年度にあと3回程度の公募が予定されている。

 第6回以降の改定点は(イ)売上高減少要件の緩和(ロ)回復・再生応援枠の新設(ハ)グリーン成長枠の新設(ニ)通常枠の補助上限の見直し。などと、使いやすさが向上し、補助金額も加算されている。

 (3)令和4年度税制改正大綱 https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/20211224taikou.pdf

 出を抑えるという意味では知っておいて損はない。コンセプトは「成長と分配の好循環。コロナ後の新しい社会の開拓」となっている。

 主な改定点は(イ)住宅ローン控除の見直し(対象者の所得要件、ローン残高の控除率、控除期間などが変更される)(ロ)上場株式等に係る配当が総合課税とされる範囲の拡大(ハ)固定資産税の負担軽減措置(住宅地と商業地で違いがある)(ニ)非上場株式等に係る納税猶予の特例制度(事業承継計画の提出期限が1年延長)(ホ)給与等の支給額が増加した場合の税制控除制度(控除額の拡大)(ヘ)少額資産および一括償却資産の損金算入制度について貸付資産の除外(ト)消費税的確請求書等保存方式に係る見直し(チ)電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存の宥恕(ゆうじょ)措置(令和5年12月31日まで電子取引を紙で保存することができる)。

 (1)、(2)については既に多くの地域や事業者が採択を受けており、真剣に取り組めば採択を受けることは決して不可能ではない。また、一度採択を受けた事業者でも事業内容が変われば再度申請することが可能なものもある。成功報酬で申請のアドバイスをしてくれる会社や個人も多く存在するので周りの申請経験のある事業者に聞いてみることをお勧めする。

 (3)については顧問税理士や会計士とよく相談してほしい。的確なアドバイスのできない先生ならば、変更を考えてはいかがか。優秀な先生はいくらでも存在する。

(EHS研究所会長)

 
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