【旅館経営 タテ・ヨコ・ナナメ 204】抜け出す経営への原理原則7収益性の確保8 リョケン 代表取締役社長 佐野洋一


 前回は損益分岐点というものの考え方について、教科書的に解説した。その中で、固定費と変動費という費用区分について述べたが、これをもう一歩進めて、戦略的なコスト運用ということを考えていきたい。

 何度も言うが、ここでの大テーマは「収益性の確保」にある。その目的のために、コストをどう捉えていくか、という視点である。

 (6)コスト戦略

 (ⅰ)2種類のコスト

 コストは、固定費・変動費という区分とは別の観点で、2種類に分けて捉えることができる。

 ●アクティビティ・コスト(Activity Costs:活動原価※)

 生産・販売など、何らかの「活動」をした結果として発生する原価で、短期的に消費されるもの―原材料や消耗財、エネルギーなどにかかるコストである。「オペレーションコスト」とも言う。変動費は全てこれに当たるが、固定費でもこれに位置付けられるものは多く、人件費も基本的にアクティビティ・コストである。

 ※ここでの「原価」とは、旅館などで一般的に言われる原価(直接原価=材料商品原価)と違って、広く「コスト全般」を意味する。

 ●キャパシティ・コスト(Capacity Costs:能力原価)

 生産・販売を行っていくための「能力」を取得したために発生する原価で、より長期的に継続使用されるもの―主に耐久財に投じられるコストである。「戦略コスト」とも言う。典型的なのは設備投資であり、これによって生ずる減価償却費や支払利息などがそのコストに当たる。これらは全て固定費である。

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