【旅館経営 タテ・ヨコ・ナナメ 205】抜け出す経営への原理原則7収益性の確保9 リョケン 代表取締役社長 佐野洋一


 キャパシティ・コストに目を向け、これを有効活用することで戦略的にコスト(ランニングコスト)低減を図るという方向を、前回提言した。今回はこれについて少し掘り下げたい。

 ランニングコスト(≒アクティビティ・コスト)でそれなりに回っているものを、イニシャルコスト(≒キャパシティ・コスト)に置き換えていくことである。平たく言えば「コストダウンのための投資」だ。

 (ⅲ)人件費の置き換え

 旅館におけるランニングコストの大きなものは…材料商品原価、人件費、送客手数料、水道光熱費と相場は決まっている。このうち、キャパシティ・コストの投入によって削減できる可能性が最も見込めるものは、人件費である。つまり、人件費の発生要因となっている業務や作業を、機械やシステムといったものへの投資によって減らしていくことだ。ところが旅館の人件費は、なかなかそういう対象として見られていない。これには二つの要因があると考える。

 一つは、旅館では業務や作業が(「人件費が」ではない)そもそも「ランニングコスト」としてはあまり意識されていない…どころか、コストとして見えないままになっている場合が多いことが挙げられる。

 人件費は配置される人数単位で計られ、「この作業にいくらかかっている」という捉え方があまりされていない。ランニングコストとみなして低減を図るためには、まずその視点を変える必要がある。その上で、日ごろ特に不自由とも、問題があるとも感じていない、見た目にスムーズに回っている業務や作業に、「このままでいいのか?」と問い直す態度が必要となる。

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