【日本政府観光局インバウンド最新リポート 69】インドネシアの海外旅行 JNTOジャカルタ事務所 天野 泉 所長


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ウィズコロナで既に再開

 インドネシアでは、アジアの主要市場では最も早く、9月末より海外旅行が再開している。送客先一番乗りとなったのはトルコだ。トルコ政府観光局は、9月中旬にインドネシアの主要旅行会社や著名インフルエンサーを視察のため招聘(しょうへい)している。

 トルコは、欧州と組み合わせたツアーを組めることなどから近年人気の観光地だったが、コロナ禍で注目を集めているのは、現時点で訪問が可能な数少ない旅行先であることが大きいと思われる。各旅行会社は、トルコ以外にも観光客の受け入れを開始したドバイなどを訪れるツアーの販売を開始し、各国のビザ発給状況についても盛んに宣伝をしている。

 新型コロナウイルスの抑え込みに苦戦し、感染者数、死者数とも東南アジア最多となっているインドネシアだからこそ、逆に国際間の人の往来に対して、拒否感が少ないのかもしれない。11月下旬時点で、インドネシア人の出国または海外旅行に関する規制はなく、帰国時にウイルス陰性証明などが義務付けられているものの、帰国後の隔離については、特に当局による監視体制はないため、自主的に実施される形となっている。

 また、国内旅行についても特段の規制はないが、国内線搭乗時や中長距離列車の乗車時には、ウイルス陰性証明の提示が必要なため、主要駅や空港には迅速検査などを行える場所が設置されている状況だ。国内旅行では、飛行機での移動が必要なバリ島より、自家用車でアクセスできる観光地に人気が集まっているようだ。10月末の4連休は、首都ジャカルタ近郊の森林リゾートや、高原都市バンドン、中部ジャワのジョグジャカルタなど、ジャワ島の主要観光地に多くの国内観光客が集まった。

 では、コロナ禍のインドネシアで訪日旅行はどのように捉えられているのか。9月中旬に当所がオンラインで行った消費者アンケートでは、「今後日本へ渡航を検討するとき、決め手となる情報は何か」との質問に対し、一番多かった回答は「インドネシアもしくは日本政府による安全宣言」であったが、次いで「日本は観光するのに安全な国だから大丈夫」が挙げられた。この結果から、インドネシアでは訪日旅行に対する心理的障壁が少ないことが感じられる。

 また、「日本で行きたい訪問先」を尋ねた質問では、定番のゴールデンルートを選んだ方が1年前の調査より多くなっており、「日本でしてみたいこと」では、アウトドアや街歩きのニーズが高まっていることが感じられる結果となった。

 まだインドネシアからの訪日旅行再開の時期は見えないが、既に動き始めているインドネシアの旅行市場に対し、機会が訪れた際には日本を訪問先として選んでいただけるよう、的確な情報発信を心がけていきたい。

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