訪日再開に備えて魅力発信
JNTOは2021年11月1日、メキシコシティにメキシコ事務所を開所した。22年度は中南米を、23年度には南米のスペイン語圏でも訪日プロモーションを実施していく予定である。現地の生の声の収集、調査事業等を通じて市場のニーズ・動向把握に努め、新たな市場として、皆さまの役に立つ情報を提供できるよう努めていきたい。
メキシコからの訪日旅行者数は、19年は過去最高の7万1745人に達し、14年の2倍以上であった。メキシコは所得差が大きく、訪日旅行が可能なのは中間所得者層以上。メキシコ人の訪日時期は、7月の夏休み期間が最も多く、次いでイースター(セマナ・サンタ)休暇時期である。
JNTO22市場基礎調査によると、メキシコ人の海外旅行先で一番多いのは米国、次いでスペイン、カナダ、フランス、イタリア、ドイツ、英国、日本、中国の順で、日本は北米、主な欧州の国に続いている。同行者は圧倒的に夫婦・パートナーが多いが、2世代3世代一緒の家族旅行も多いという。旅行日数は、7日と回答した人が最も多く、次いで5日、10日となっている。直近で訪問した海外旅行(ロングホール)支出総額と訪日旅行の支出総額を比べると、6万8千ペソ(約34万円)以上支出しているのは圧倒的に訪日旅行の割合が高い。また、訪日旅行で関心が高いこととして、食事や酒、伝統文化・芸能、サブカルチャーと回答した人が多かった。
メキシコ人の訪日旅行の多くはゴールデンルートが中心ではあるものの、それにプラスしてそこでしか体験できないアクティビティを楽しむタイプ、各自の趣味、趣向に合わせた目的で日本を訪問するタイプに分かれている。スペイン語で得られる日本の情報は十分とは言えず、今後、多様な日本の魅力を発信していくことが、訪日旅行に興味・関心を抱かせ、さらには実際に訪日してもらうために必要だと感じている。
メキシコは、入国制限がほとんどなく、ワクチン接種完了証明書、PCR検査等陰性証明書の提出を求められることはなく、入国後の隔離規制もない。21年は訪墨旅行者数、特に米国からの旅行者数が回復してきている。同様にメキシコ人にとっても相手国の規制が緩和されれば、海外旅行はしやすいと言える。「新型コロナウイルス感染拡大後の旅行動向として、消費者は旅行先を選定する際に衛生面や安全性を重視しており、その観点から日本は最適な旅行先とメキシコ国内で認知されている」と、旅行会社からの声もあることから、国境が再開したら、比較的早くメキシコ人は訪日するのではないかと期待している。
JNTOメキシコ事務所では、22年1月に中南米向けスペイン語SNSを開設し、多様な日本の魅力を発信していく。3月にはメキシコの旅行会社向けのウェビナー開催を予定しており、訪日旅行再開に備えメキシコ人消費者に訪日旅行をPRしていく。訪日旅行再開後、中南米からの訪日旅行者の増加を目指し努めていく所存である。中南米からの訪日旅行受け入れ経験者、未経験者にかかわらず、皆さまのお力添えをお願いしたい。