「合組」、いわゆるブレンドがお茶屋の技でもあるとお伝えしましたが、最近では、「シングルオリジン」(単一農園・単一品種)のお茶にも関心が広がっているようです。各農園で採れたお茶をブレンドせず仕上げ、品種や農園の土地を含む特徴をそのまま味わうものです。紅茶、コーヒー、ワインではこの流れは以前からあるようです。弊店では、季節限定茶がこのシングルオリジンに相当し、茶名をつけて、通年販売する定番茶はブレンドが基本です。
アイドルグループ、「乃木坂46」のメンバーのお1人が、日本茶に関心があるとのことで、対談の取材をお受けしたことがあります。ご来店の折、「ブレンド」が話題となった時に、次のようにお話ししました。「『ブレンド』とは、いろいろな歌声が集まった『美しいハーモニー』のようなものかもしれません」と。個々の歌声を聴き、それぞれの響きを楽しむのも良し、合唱の醸し出す奥深いハーモニーに浸るのもまた、格別。それぞれに良さがあり、その違いをまた、楽しむ。お茶の世界にだけ当てはまることでもないと思っています。
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昔の弊店のくくりでは、雑品。「あんまり雑品は置きたくない」などと、悠長に構えていた時代は終わりました。今ではプラスワン商品との捉え方。積極的に皆で情報を集め、周りに置いてなさそうな、おいしく価値ある品を探します。季節限定茶との同時期販売ですので常設ではありません。各店が期間中の販売量を考え、発注します。
新茶時期には、数種のお茶請け菓子。数年以上続いている物もあれば、その年だけで消えていく物もあります。夏場は静岡県有東木のわさび関連の商品。生産家手作りの「わさび味噌(みそ)」は、時期が近づくと入荷を心待ちにする方もいらっしゃるほどです。秋場は栗まんじゅう。初秋と冬は、40年来わが家でも取り寄せしている京都の漬物。いずれも先方のご厚意で分けていただいているので、そのお店と同価格です。自信を持って販売できるおいしさなので、その店のごひいき筋になる方も。本来は、季節限定茶とのセット販売を目指していたのですが、その品だけを目当てにご来店の方々がちらほらと。複雑ですが、お客さまのご希望なら、「喜んで!」承ります。