
バスやタクシー、鉄道といった既存の交通インフラから、自転車、ライドシェアや自動運転などの新たな移動手段まで、業界横断的に幅広く取材、課題に向き合ってきた著者。観光振興・まちづくりに取り組む上で課題とされ続けている「二次交通」の、現状と課題、可能性について、初めて観光の視点からまとめた。
第1章では日本のインバウンド観光の現状と課題、二次交通を活用した課題解決策を紹介。第2章では全国各地で進む、MaaSや自転車政策など二次交通事業の成否について、第3章では二次交通分野での「ニーズの把握」「データの活用」について事例を挙げて解説する。第4章ではライドシェアや自動運転などの新たな移動手段やサービスを紹介。第5章では既存の交通インフラや施策等との向き合い方を説く。
著者は、地方行政では観光部局と交通部局が異なり、政策上の分断や連携不足を招くことがあると指摘。訪日客が増える中でなぜ二次交通の整備が必要なのかを説いた上で、二次交通事業の検討方法や導入プロセスも紹介する。
「観光客のニーズの把握、地域コンテンツと新たなサービスを生み出すのに長けているのは、観光客と太いつながりを持つことができる観光業界。観光視点での地域の磨き上げや二次交通整備は、地域住民の生活サービスをも充実させ、持続可能な地域づくりにつながる」と著者は主張する。
四六判272ページ。定価=税別2200円。発行・やまとごころブックス。
表紙