海外旅行自由化からインターネット普及直前までの海外パッケージツアーを対象に、商品としての構造とその変化について、製品のイノベーションと製品の構造や特性の関係に着目する「製品アーキテクチャ論」から分析した。著者は、杏林大学外国語学部准教授、立教大学観光学部兼任講師の野口洋平氏。
著者は「製品アーキテクチャから分析するとフルパッケージ型のパッケージツアーが長く存在し続ける理由を説明することができる」と指摘。「パッケージツアーの商品としての中心的な価値は、旅行者の旅行をめぐる知識やスキルの差を補って、利便性や確実性が高い旅行、経済性や合理性が高い旅行を実現する、または最大化するための『旅行サービスの利用の範囲と方法に関する最適な設定』である。こうした価値に依存する初級・中級ユーザー的旅行者は常に生まれ、存在し続ける。そして上級ユーザー的旅行者も、自分自身で予約・手配するよりも合理的または効率的であると判断すれば、旅行業者によるサービス、すなわちパッケージツアーを利用する」と分析する。
定価は3300円(税別)。185ページ。2月20日発行。発行=晃洋書房TEL075(312)0788。