水明館(岐阜県下呂温泉)会長で、日本温泉協会会長を4期8年務めたほか、旅館業界、地元旅館・観光業界の要職を長く務めた瀧多賀男氏がこのほど、「続 心ひとつに下呂温泉 次代へのメッセージ」を執筆、岐阜新聞社から発刊した=写真。
10年前に発刊した自伝の続編。1980年に社長就任、3代目「瀧多賀男」襲名以来、令和の現在までの下呂温泉の歴史を瀧氏の目線から俯瞰。温泉文化のさらなる発展に向けた思いをしたためている。
下呂温泉観光協会会長に1985年就任した瀧氏は、「当時はあまり権限を持たない存在だった」協会を「町行政と対等な立場に」と、法人化に尽力。協会設立50周年の年に社団法人化を実現させた。
「適当に宣伝し、出向いた自分たちも楽しむ」雰囲気だった東京での誘客事業も一変。会場を一流の帝国ホテルに、イベントは銀座に温泉を運んで人々に体感してもらうという斬新なアイデアで大きな宣伝効果を生んだ。海外との交流も積極的に進め、韓国・儒城(ユソン)温泉との姉妹提携を1997年に実現した。
「やり残したこと」として「出雲大社飛騨教会」と「下呂魚介」の新増築、下呂駅周辺の整備を挙げる瀧氏は、「次なるジェネレーションに大きな期待をしてやみません」と、4代目の瀧康洋氏ら若い世代のさらなる活躍を期待している。