京急電鉄、東海道本線・川崎駅の「上を向いて歩こう」、西武池袋線・大泉学園駅の「銀河鉄道999」など、列車の発着時に流れるメロディ(本書では「駅メロ」と呼んでいる)は、日本独自の文化として親しまれている。
「駅メロにはその駅、その街ならでのエピソードや人間模様が曲の背景に潜んでいる」と著者の藤澤氏。藤澤氏自らの足でこれまでにつむぎ上げた人と町の物語は、「地域活性化のヒント」でもあると考え、本書では多くの関係者にインタビュー、自ら体験したエピソードをもとに、駅メロの誕生や導入、発展に関するさまざまな内容がまとめられている。
また、東北新幹線・JR仙台駅の駅メロ「青葉城恋唄」を作曲したシンガーソングライターのさとう宗幸さんのインタビューも掲載。近年、駅メロは町おこし対策としても注目されており、地域活性化のヒントを得るためのアイデア書としても参考になるだろう。
藤澤氏は本紙でコラム「駅メロとわずがたり」を連載中。コラムと併せて読みたい1冊。
新書判255ページ。定価990円(税込み)。発売=交通新聞社。