ゲストハウスという場所は、国内外の移動者を支えるインフラとして機能する宿泊施設であり、そこでは観光者同士の積極的な交流をみることができる。特に興味深いのは、「築かれる旅先の関係性がたいてい数日間しか続かないという点」だと著者は語る。
観光者の移動によって生成する関係は、同じように観光者の移動によって消失する一時的なものでしかない。本書では、そうした関わりを、鳥などの動物がふと立ち寄っては離れていく止まり木のようなゲストハウスの性格を示すものとし、ゲストハウスを訪れる観光者はなぜそれに魅力を感じるのかを探る。加えて、旅先のつながりを探求するにあたり、特に一時的性格に注目。時間が限定された一時的なつながりを「時間的つながり」と呼び、身体的な移動がどのようなつながりを創出し、それがいかなる社会的作用を持ちうるのかを考察している。
A5判266ページ。定価5060円(税込み)。発売=晃洋書房。