鉄道の長い歴史の中では、実用化されなかった車両も多数ある。構想で終わった原子力機関車や、試作で終わったガスタービン車。中には「?」な珍しい車両も。現在、私たちが日常利用している鉄道の世界は、こうしたさまざまな挑戦の結果。限界を破り、新機軸を持った新型車両を誕生させようという試みに、鉄道人はどう立ち向かってきたのか―。
三菱商事に勤務し、退職後に起業。鉄道史学会会員で、海外の鉄道に造詣が深い著者による、鉄道車両の進化の軌跡をたどった1冊。貴重な写真や図表を交えて紹介している。
「蒸気機関車の限界へ」「電車と気動車の出現」「電化・ディーゼル化、新動力への模索」など、6章構成。最終章「日本の風土に合わせて鉄道が進化」では、山がちな環境による曲線区間のスピードアップへの取り組みを、海外のイタリアや国内のJR四国などの事例から紹介。一時話題となったフリーゲージトレインや、ハイブリッド車両についての技術論にも言及している。
鉄道の歴史をメカの観点から考察した1冊。
新書判。本体900円+税。
発売元=交通新聞社。