【焦点課題】OYOホテルズ日本代表 プラスン・チョードリー氏に聞く


プラスン・チョードリー日本代表

OYOホテルとは何か

最新テクノロジーを駆使 ホテル・旅館の経営支援

 ――OYOの始まりについて教えてほしい。

 「2013年、当時19歳だったインド人のリテシュ・アガルワルが、米オンライン決済サービス『ペイパル』の創設者のピーター・ティール氏から事業資金を調達して起業した。貧困地域で育った彼は、インド国内を旅行した時、質の高い、手頃な価格のホテルが極めて不足していることに気づいた。『低質な内装・デザイン』『柔軟性を欠くレーティング(価格設定)』『間違ったコスト構造』を改善して、質の高い空間を造り、提供するビジネスモデルを思いついた」

 ――OYOホテルズの現在の事業規模は。

 「総客室数ではマリオット、ヒルトン、IHGといった世界上位チェーンと肩を並べている。2020年2月現在、世界80カ国の800都市に4万3千軒、120万室を展開している」

 ――最大規模はインドか。

 「1位がインドで、2位が中国だ。マレーシア、スリランカ、インドネシア、UAEも多い。米国、メキシコ、ブラジルも多い」

 ――日本におけるフランチャイズホテルの数は。

 「OYOホテルズジャパンの第1号ホテルは2019年3月に誕生した。現在は73都市で200軒以上のホテルを運営している。全国を飛び回り、加盟宿泊施設を新規開拓する営業担当は数百人いる」

 ――OYOにとって日本は重要市場なのか。

 「日本のホテル市場は独特だ。例えば、日本特有の宿泊施設『旅館』などがある。私たちは、テクノロジーとデータの力で旅館を活性化し、もっと世界に紹介していきたいと考えている」

 ――OYOホテルズに加盟するメリットは何か。

 「日本には家族経営によるホテルや旅館が数多く存在する。テクノロジーの不足や後継者不足、人件費の高騰など、OYOが他の国でも見てきたような問題が、日本でも見過ごせないものになっている。私たちはその課題解決に挑戦している」

 ――具体的には。

 「高いポテンシャルを持つ日本のホスピタリティ市場に対して、高いデザイン性やホスピタリティ、テクノロジー、収益管理、プラットフォームなどさまざまな要素を組み合わせた画期的なビジネスモデルを提供している。加盟ホテルとはパートナー契約を結ぶ。加盟ホテルは運営施設を所有し、オーナーと従業員で運営をする。OYOホテルズは、ブランド、マーケティング、システムを提供し、収益拡大をサポートする。その対価としてブランドフィーと手数料を受け取る」

 ――ブランドフィーはいくらか。手数料率は10%程度か。

 「開示していない。フランチャイズ加盟に当たっては、OYO基準に合わせたリフォームを一部OYO負担で行う。改装にかかる費用は施設によって異なる。その費用回収もあるため、手数料率の設定は個別契約になっている」

 ――AIによるダイナミック・プライシングは、OYOの強みの一つだが、周辺競合施設の最安値を下回る販売価格を自動表示するため、例えば近隣施設が客室数限定の1円バースデープランを出した場合、マイナスの販売価格を表示してしまう。そういった具体例がこれまで散見されてきた。

 「AIのアルゴリズムのエラーは改善した。最先端のテクノロジー企業なので、そこには自信を持っている」

 ――OYOが以前採用していた「前年売上100%保証」の契約が全く履行されなかったり、最低保証額が一方的に減額されたりした例があるという報道が日本の大手新聞社からあった。債務不履行、独善的な契約条件変更で、契約違反に当たるとされた。これは事実か。

 「事実とは異なる。契約内容は順守している。例えば、新型コロナ問題により、現在日本中の宿泊施設で予約のキャンセルが発生しているが、OYOは予約・宿泊が大幅に減少した契約宿泊施設に対しても契約内容に応じた支払いを続けている。経営支援になっている」

 ――ではなぜ件(くだん)の報道がされたと思うか。

 「OYOは急拡大中のベンチャー企業で、日本の営業チームも急編成で動いていた。契約を取るために書面にないことを過剰なリップサービスで約束してしまった者がいた可能性も否定できない。反省して教育を強化中だ」

Prasun Choudhary 1980年5月生まれ、39歳。2019年に創業した日本におけるOYOホテルのビジネスを統括。OYOには2015年から在籍。南インド、東インド、ネパールでOYOのビジネス拡大を指揮。

【聞き手・江口英一】

 
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