【特集】中国の始まりの地、河南省の魅力 日本人の入国ビザ免除再開! 今こそ行きたい中国史の旅


中国10大古都のうち、半数はここ河南省に存在する

中国10大古都のうち、半数はここ河南省に存在する

 中国駐東京観光代表処は11月2日から7日にかけて、「『你好(ニーハオ)!中国』河南省FAMツアー」を、日本の旅行会社やメディア、出版業界、写真家、作曲家、インフルエンサーなどに向けて催行した。絢爛(けんらん)たる5千年あまりの歴史舞台にたびたび登場してきた河南省。日本でもおなじみ『三国志』でも同省が舞台になったほか、北宋時代には華やかな庶民文化が興隆するなど、中国の歴史・文化を体感するには最適な場所だ。

 11月30日からは、観光などを目的とする短期滞在について、日本人の入国査証(ビザ)の免除が再開されることとなった。中国がさらに近くなった今、同省の中でも特に見どころの多い鄭州市、開封市、安陽市、許昌市、洛陽市を紹介する。

 

始まりの場所 河南省とは?

 中国の平原地帯のほぼ中心部に位置する河南省は、黄河文明の発祥地として知られている。その歴史は長く、黄河文明の新石器文化「仰韶文化」に始まり、5千年あまりの歴史の中でさまざまな都が置かれた。河南省の主要都市、鄭州、開封、洛陽、安陽は、中国を代表する古代都市として有名で、中国の十大古都(西安・北京・南京・成都・大同・杭州・鄭州・開封・洛陽・安陽)の半数はこれら河南省の都市が占める。同省には現在17の国家考古学遺跡が残っており、この数は中国国内で最も多い。

 古代遺跡だけでなく、河南省には『三国志』に登場する数々の史跡があることでも知られている。曹操が本拠地とした許昌や、その後に魏の都が置かれた洛陽には、『三国志』を読んだ人にとってなじみ深い観光地が多数存在する。このほかにも、庶民文化が花開いた北宋時代の都・開封には、当時の華やかな街並みを再現した巨大なテーマパークもあり、歴史の学習以外にも楽しめるコンテンツが豊富にある。

 

鄭州 ~歴史を訪ねる旅の起点~

 鄭州は河南省の省都で、中国・中原地帯で最大の都市。中国の古代王朝「商(殷)」の都「邑」があったとされる場所で、現代にも当時の城壁が一部残っている。中国文明の発祥地として名高い鄭州市内には、さまざまな博物館が点在しており、当時の生活様式や遺跡からの出土品などを見学できる。

●河南省博物館

 1927年に開館した中国最古の博物館の一つで、北京の故宮博物館、南京の南京博物館に並ぶ中国三大博物館の一つとして知られている。無料で見学でき、先史時代や商代、西周など、古代から中世までの文化財が約17万点保管されている。

●東城垣遺跡博物館

 27平方キロメートルあったとされる商代の城壁は、現在も約7キロメートルにわたって残されている。その一部を利用して作られたのが、東城垣遺跡博物館だ。実際の城壁遺構を覆うように建てられた同館の屋内では、古代から近代に至るまで幾度となく再利用されてきた城壁の歴史をプロジェクションマッピングで学習することができる。

東城垣遺跡博物館。都市開発でわずかに残った城壁を利用している。
東城垣遺跡博物館。都市開発でわずかに残った城壁を利用している。

 

●独特の河南・演劇幻城

 中国には、現代に伝わるさまざまな演劇を舞台ショーとして楽しめるスポットが数多くある。「独特の河南・演劇幻城」もその一つで、21の劇場が1カ所にまとまった世界最大規模の演劇集落型テーマパークとなっている。河南省の土地や食料、歴史にまつわる物語をショーとして伝承しており、毎日約125回の公演が行われている。

●少林寺・塔林

 カンフーの発祥地として知られる少林寺は、鄭州市・登封の山間部にある。嵩山の奥地・少室山の密林にあることから「少林寺」と呼ばれている。寺院の境内では現在も修行僧が活動している姿を見学することができる。寺の周辺に林立する256の仏舎利塔「塔林」も、貴重な史跡として有名な観光スポットだ。夜間には、屋外で盛大に行われる大型ショーイベント『禅宗少林・音楽大典』を鑑賞でき、こちらも国内外の観光客から人気のイベントとなっている。

 

開封 ~庶民文化が花開いた場所~

開封は黄河の南岸に位置する工業都市。戦国時代には魏の都(当時は大梁)が置かれ、その後も後晋、後漢、後周、北宋の都として栄えた。中国国内でも人気の小説『水滸伝』の舞台としても知られている。

●清明上河園

 北宋の画家・張擇端が開封(当時は東京(とうけい))の繁栄を描いた絵巻物『清明上河図』を再現したテーマパーク。当時の開封で暮らしていた人々の生活を疑似体験でき、屋外に立ち並ぶ飲食店や土産物店、庭園や池などはすべて当時の街並みを再現している。園内では当時の商人や役人などの服装をレンタルできるほか、屋外公演される『大宋・東京夢華(とうけいむか)』といったショーイベントの鑑賞を楽しむこともできる。

幻想的な夜の清明上河園
幻想的な夜の清明上河園

 

●大相国寺

 開封市の中心部にある有名な仏教寺院の一つ。555年に創建された「建国寺」が始まりで、唐代に睿宗が皇位に上り詰めたことを記念して「大相国寺」と名付けられた。清代に再建された寺院は、現代でも当時のままの状態で残されている。境内には『水滸伝』に登場する魯智深(ろちしん)の像があるほか、寺院の奥にある羅漢堂には、高さ6メートルのイチョウの木を彫って作られた金箔(きんぱく)塗りの千手観音像を拝むことができる。

●州橋・汴河(べんが)遺跡

 州橋は、唐代中期に建設された運河をまたぐ石造りの橋。当時運河として利用されていた汴河に架かっており、以降明代末期にわたって利用されてきたが、1642年に黄河氾濫による土砂によって姿を消してしまった。1984年に発掘し始めた際に、幅30メートルの古橋の遺跡を発見。唐代や明代の遺構が見られる貴重なスポットとなっている。
明代のアーチ橋
明代のアーチ橋

 

安陽 ~殷王朝の古跡群~

 安陽市は河南省北部の都市。ここには中国の古代王朝「殷」の遺跡「殷墟」が残っており、遺跡の出土品などを見学できる。安陽市へは、河南省の省都・鄭州市からバスで約2時間半でアクセスできる。

●殷墟・殷墟博物館

 殷墟は2005年、殷の遺跡発掘地として世界文化遺産に登録。隣接する殷墟博物館では、殷墟で発掘された陶器、青銅器、玉器がおよそ4千点以上展示されている。中国国内で使用されていた最古の文字「甲骨文字」の展示も見学できる。同博物館では現在も考古学研究が進められており、今後も新たな歴史的発見が期待されている。

世界最大の青銅器「后母戊鼎」は、ここ殷墟から出土した
世界最大の青銅器「后母戊鼎」は、ここ殷墟から出土した

 

●中国文字博物館

世界でも珍しい「文字」をテーマにした博物館。古代中国で使われた甲骨文字に加え、漢字の発展や書法の歴史、少数民族の文字など、約4千点の文化財が所蔵されている。

 

許昌 ~三国志ゆかりの地~

 許昌市は、河南省のほぼ中央に位置する都市で、『三国志』に登場する灞陵橋(はりょうきょう)や許昌博物館など歴史好きにはたまらないスポットが点在する。そのほかにも、中国国内でも特に有名な磁器の名産地・神垕(しんこう)古鎮や、三国時代の魏の都を再現した商店街・曹魏古城など、アクティビティやショッピングも楽しめる。

●灞陵橋

 『三国志』に登場する名シーン「関羽と曹操の別れ」の舞台となった場所が灞陵橋だ。曹操の捕虜となっていた関羽が主君・劉備の存命の知らせを知り、曹操から解放される場面は有名だが、その様子を形にしたモニュメントが敷地内に設置されている。

 三国志の英雄となった関羽はそろばんを発明した人物ともいわれており、現代では「商業の神様」として関羽を祭った「関帝廟」が世界各地に建立されている。中国にも30万軒ほどの関帝廟があるが、曹操とともに関羽が祭られているのは、ここ灞陵橋のみだという。

灞陵橋
灞陵橋

 

●神垕古鎮

 許昌市・禹州にある神垕古鎮では、中国の「五大名窯」の一つ、「鈞窯(きんよう)」の磁器文化を堪能できる。過去数千年以上にわたり磁器の生産が行われており、今でも窯の火は消えることなく色鮮やかな磁器を作り続けている。近年観光地化が進んでおり、街の中心部には磁器を扱う土産店や民宿などが開業している。実際にろくろを回して磁器作り体験をすることも可能だ。

●曹魏古城

 許昌市の中心部にある、三国時代の魏の古都を再現した商店街。現地の土産店に加え、飲食店などが多数並んでおり、商店街の最奥では曹操の巨大な像が観光客を出迎える。

 

洛陽 ~最古の関帝廟や石窟遺跡~

 洛陽市は、東周、後漢、三国時代の魏などの都が置かれた古都。隋・唐の時代には副都とされた。当時の街並みを再現した観光スポットがあるほか、世界文化遺産に登録されている龍門石窟も、ここ洛陽市の郊外にある。

●関林

 三国志の英雄・関羽を祭った「関帝廟」で、ここには関羽の首塚がある。「廟」は皇帝の墓を意味するもので、関羽も後世に神格化されているが、生前は将軍のため「将軍の墓」という意味の「林」をとって関林と名付けられた。中国最古の関亭廟の一つといわれている。

 「商業の神様」として名高い関羽は現代でも多くの人に慕われており、過去には清朝末期の権力者・西太后も訪れた場所として知られている。

●隋唐洛陽城国家遺跡公園

 隋や唐の時代に栄えた洛陽の遺跡が残る旧市街の中心部にある公園で、応天門、明堂、天堂などの建築遺跡が有名。中でも、朝廷の即位式や宴会などの重要行事が行われた応天門は、現代の建築物で13階建ての高さに相当する大きさを誇り、当時の中国では最も格式の高い城門とされていた。

夜の隋唐洛陽城国家遺跡公園。写真左奥には中国史上唯一の女帝・則天武后の礼仏堂「天堂」が見える
夜の隋唐洛陽城国家遺跡公園。写真左奥には中国史上唯一の女帝・則天武后の礼仏堂「天堂」が見える

 

●洛邑古城

 隋・唐時代の旧市街を再現した商店街。飲食店や宿泊施設などが多数立ち並ぶ。園内では、宮廷音楽や舞踊、戯曲などの曲芸などが公演され、当時の宮廷文化を楽しめる。

●龍門石窟

 洛陽市内で外せない観光スポットが龍門石窟だ。中国の四大石窟の一つに数えられており、2000年に世界文化遺産に登録された。中国で仏教文化が盛んになった魏晋南北朝時代に掘削が活発化し、以降1400年にわたって仏像の制作が行われた。統計では、約10万体の仏像があるとされており、最大のものは17メートルの高さがある。

龍門石窟
龍門石窟

 

■お問い合わせ

中国駐東京観光代表処https://www.cnto-tokyo.jp/
MAIL: cnta.tokyo@gmail.com
TEL: 03-3591-8686
FAX: 03-3591-6886

 
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