100人参加、コロナ対策も徹底
地元の食材や酒などを味わいながら、温泉と自然散策を楽しむ「ONSEN・ガストロノミー(ON・ガス)ツーリズム」。新しい旅の楽しみ方として広がりつつある。7日、栃木県那須塩原市の板室温泉地区で開催されたイベントを取材した。
説明役の旅館経営者
板室温泉神社
ポイントで出た食事
加登屋旅館の歴史に触れる
このイベントは「ONSEN・ガストロノミーウォーキングin那須塩原2020・板室」。主催は市観光局で、ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構が特別協力した。栃木県はもちろん、北関東でも初めての開催となる。
同ウォーキングは新型コロナウイルスの影響で2月から中止が相次ぎ、9月20日の鶯宿温泉(岩手県雫石町)での開催で再開にこぎつけた。
この日は約100人が紅葉真っ盛りの秋の1日を楽しんだ。参加費3500円には食事・飲み物代、温泉入浴券、損害保険代が含まれている。参加者には検温のほか、コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」のインストールやマスク着用などを求め、感染防止対策を徹底した。
密を避けるため、3グループに分かれ、時間をずらして「乙女の滝」駐車場を出発。ゴール地点は木の俣園地で、約8キロの行程を歩く。板室温泉神社や国登録有形文化財の加登屋旅館、籠岩神社など観光スポットでは旅館経営者らが参加者に丁寧に説明する姿も。途中、四つのポイントではチーズや巻狩鍋、おにぎりなど地元食材を使った食べ物やワインなどが提供された。ゴール後は温泉に浸かり疲れを癒やした。
この日は日本遺産・旧青木家那須別邸前の広場で交流会・シンポジウムも開かれた(参加費2千円)。地元食材を使ったコース料理を味わいながら、パネル討論やトークショーに聞き入った。市役所職員が執事になりきり、参加者を接待した。
個人会員組織「ONSEN騎士団」の最高位、グランクロワを取得している渡辺美知太郎市長は貴族風衣装で参加。同ウォーキングを「コロナ禍だからこそできるイベント」とした上で、「那須塩原は首都圏から近く、気軽にリフレッシュできる町。リトリートの観光地としてアピールしていきたい」と強調した。
乾杯の音頭をとった推進機構の小川正人理事長(ANA総合研究所顧問)は「ウォーキングは非接触型イベントであり、ウィズコロナ時代に適している。今回の開催を機に、那須塩原の食と温泉、景色、ふれあいの素晴らしさをPRしていきたい」と述べた。
来年5月には塩原温泉地区で同様のイベントが開催される予定だ。
渡辺市長(左から5人目)と執事に扮した市職員
小川理事長
パネル討論会も開催