2022年3月時点でSNS各社が発表している国内月間アクティブユーザー数を見ると、LINEが9200万人、YouTube(ユーチューブ)が6900万人、Twitter(ツイッター)が4500万人、Instagram(インスタグラム)が3300万人、Facebook(フェイスブック)が2600万人、TikTok(ティックトック)が950万人。「TikTok売れ」など、TikTokはZ世代のマーケティング手法として使われているが、ユーチューブの活用は、宿泊施設の魅力を訴求する際に再考の余地はある。
動画マーケティングのトレンドとしては、新型コロナウイルス感染症の世界的流行で、インターネットユーザーによる動画の視聴時間は驚くほど増大している。2020年には合計視聴時間が85%増加し、昨年の1年間で122億分に達した。各企業が制作した動画コンテンツの種類、本数が比較的多かったのは、長さが0~30秒の短い動画で、2020年には480万本以上アップロードされた。
短い動画で訴求する一方、30~60分の長編動画で取り組みを紹介する企業も増えている。宿泊施設のこだわりや強みなど、商品やサービスの機能によって創られる機能価値(Function Value)は、長編動画でしっかり紹介し、ブランドとしての体験によってつくられる体験価値(Experience Value)はどんな滞在ができるのか、ターゲットの琴線に触れる短い動画をつくり、SNSを活用して集客につなげるなど、動画の尺の使い分けが重要になる。
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参考・Z世代の集客を行っている宿泊施設
新ブランドを若者に浸透させる方法(星野リゾートの場合)
若年層をターゲットとするブランド「BEB」については、29歳以下向けに季節や曜日を問わず宿泊料金を365日同一にする「エコひいきプラン」を用意している。1室1泊1万6千~1万8千円台なので、29歳以下の仲間3人で宿泊すれば、1人5千~6千円台で宿泊可能だ。
ゴールデンウイーク中でも、お盆でも、連休でも、平日でも、全部同じ料金という分かりやすさは良い反応を得ている。若いうちにブランドを体験させることで顧客接点を持ち、宿泊後も関係性を維持する。
企業からの常時の提案によってつくられる「つながっている価値(Engagement Value)」を高めることで、顧客のライフステージが変わったタイミングで、「リゾナーレ」「界」「星のや」などの上位ブランドの利用促進につなげられると思う。
(コレリーアンドアトラクト代表取締役)