【私の視点 観光羅針盤90】沖縄美ら島財団の活躍 石森秀三


 2月中旬に沖縄を訪れる機会があった。沖縄は昨年、入域観光客数が861万人に達して、過去最高を記録した。前年と比べると85万人の増加だ。

 外国人観光客数も208万人になり、これも過去最高を記録。前年と比べると一挙に58万人も増加している。国別内訳では、台湾60万、中国45万、韓国43万、香港22万の順であり、東アジアからの来訪者が約8割を占めている。

 今回の沖縄訪問は「一般財団法人沖縄美ら島財団」の諸活動を視察することであった。この財団は1976年に「海洋博覧会記念公園管理財団」としてスタート。72年に沖縄返還・本土復帰が実現し、それを記念して75年に「沖縄国際海洋博覧会」が本部町で開催された。

 博覧会は450万人の入場を目指したが、349万人の来場にとどまり批判を浴びた。会場跡地は国営沖縄海洋博覧会記念公園として整備され、管理財団が設立された。

 その後、2002年に旧水族館に代わって、新しく「沖縄美ら海水族館」がオープンして一挙に観光地として注目を集めるようになった。15年の海洋博公園の入園者数は約460万人、そのうちの水族館入館者数は約340万人に達している。この水族館はアジアでナンバーワンの評価を得ており、数多くの外国人が訪れている。

 この財団は海洋博公園だけでなく、92年から首里城公園の国営公園部分と県営公園部分の維持管理業務も受託している。

 15年の首里城公園入園者数は約267万人。財団が維持管理している二つの公園の入園者数を合計すると、15年には約727万人になる。15年の沖縄入域観光客数は約776万人だったので、この財団は沖縄観光において極めて重大な役割を果たしていることが理解できる。

 この財団は12年に現在の名称に改称しており、現在の職員数は630人(契約職員を含む)。総合研究センターを設置して、動植物、海洋文化、琉球文化財に関する調査研究を行い、成果を地域に還元している。また五つの関連会社を設立して、琉球食文化の振興、熱帯・亜熱帯の果樹・花木・種苗の生産管理、農水産物の生産・加工・販売、フードサービスなども手掛けている。

 貴重な地域資源を守り育て、魅力あふれる「美ら島」の輝きを世界中の人々へ、未来の人々へ、国や世代の垣根をこえた「御万人(うまんちゅ=みんな)」へ広めていく沖縄美ら島財団のさらなる活躍に期待したい。

 (北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授)

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