中小・零細企業の危機はもうすぐそこまで来ている。それが、今回の新型コロナウイルスの影響を受けている観光現場での実感値だ。
いつ、客足が回復するか見えない、その保証がない中で仮に借り入れをしても、将来利益を創出して返済できるめどがたっているわけでもなく、将来にわたって自分の首を絞めるものを抱えないといけないくらいなら「事業を閉じたほうがいい」といった声さえ聞こえてくる。
とにかく、中小・零細企業は目の前の現金が必要だ。大企業も多くの社員を抱え、その雇用維持のために各種対策が必要な状況であることは理解できる。それ以上に、中小・零細企業はすでにカウントダウンが始まっており、いつまで続けていけば回復基調がみえてくるのか、我慢比べに入っている。
その我慢比べは生き残れば生き残ったところで、多くの負債を抱え、回復しても基調がじわりじわりでは、その間もキャッシュは減り続け、日々非常に難しい判断をし続けないといけない状況に置かれている。各地の経営者は、そんな経営課題に真正面から向き合っている中で、早いタイミングで希望の光を探している。
われわれにできることは何だろうか。まずは、早期収束に向けて、政府・地方行政が出している通達に則って、ウイルス拡散をさせないための行動ルールは正しく守ること。これは大前提となるが、その上で、身近な経済・経営を回すというアクションをしていくところから回せる経済はたくさんあるはずだ。
まずは、お付き合いのある、消えてほしくないサービスを今まで以上に、大事に積極的に選んで応援する。普段の買い物や食事をコンビニやチェーン店でなく、近所の中小・零細企業経営の店舗・サービスをあえて選んでみる。
そんな小さなアクションから回る経済といった効果も、一人一人が意識して取り組んでいければ、それだけで莫大な経済が回っていくことになる。各種通達の行動指針を守った中で、できる経済活動を回していきたい。
仮に皆さんが企画していた小さなイベントが実施不可能になった場合、それと同額を別の身近な経済活動に充てられるケースもあるはずで、そこから救えるサービスは必ずあり、そこから経済循環が生まれていく。
地域経済において外貨が入りづらくなっている今、一人一人が一定のルールを守った上で、普段以上に主体的な地域内で循環する消費活動を主体的に取り組むことで、停滞した経済・目の前のキャッシュの動きを活性化でき、回復への足掛かりを構築できる可能性がある。
このタイミングだからこそ身近な経済を回し、必ず来る夜明けに向けた生き残りをお互いに支えあっていきたい。
(地域ブランディング研究所代表取締役)