【私の視点 観光羅針盤 241】独自化とファン拡大 地域ブランディング研究所代表取締役 吉田博詞


 コロナをどう乗り切るか、知恵を絞って動くしかない状況が続いている。これまでの手法が通用せず、次の顧客獲得の方法を模索していかないといけない。インバウンドはすぐには回復しないという辛い展望が共通認識になってきた中、マイクロツーリズムを代表する国内需要対応やオンライン体験等の準備を進めている方々も増えてきた。この状況の一つの突破口は「独自化とファン拡大」にある。

 危機に直面している中でも、これまでしっかりとこだわり・ストーリーを持った商品サービス展開をし、人と人のつながりを大事にしてきた方々は比較的スムーズに次の準備に移行できつつある。商品サービスの独自化と、ファン拡大の両側面で整理してみたい。

 【1】商品サービスの独自化においては、しっかりと自社商品サービスの「学び・人とのつながり・地域性・構成展開」といったポイントを顧客の共感・感動目線で再定義することにかかっている。そして、アフターコロナの市場変化予測と照らし合わせながら、より強みとして誰に何を提供していくのか明確にしていく必要がある。数でなく、質を追求したモデルへの転化を図り、独自化のあり方を見つけていってもらいたい。

 【2】ファン拡大においては、三つのファン・応援団拡大へのアプローチがあると考えている。少しでも収益源確保のために、リアル・オンライン両側面で企画設計していくことが必要な中、先述の独自化した商品サービスを丁寧に案内して、ファンの囲い込みをしていけるとよいだろう。

 (1)「過去顧客」=過去に来てくれた方々に連絡をして、接客した方の顔や生きざまが見えるような形で、近況や商品サービス展開の展望をしっかりと伝えて、オモイをもったあの人のためなら、と応援してもらえる流れを構築したい。

 (2)「地元地域の方々」=地元や地域の方々の理解の深化を進めていきたい。各種キャンペーン等も始まる中で、マイクロツーリズム対応としてぜひ地元の方々にこそ、皆さんのオモイを理解してもらいたい。地元の方や連携先がシビックプライドとして自慢してくれるような流れを構築していきたい。

 (3)「世界中の未来顧客」=オンライン・バーチャル体験等を通じて、オモイを伝えて次に日本に行くときはぜひ、あの地域にいるあの人に会いに行きたいと思ってもらえるところまで、顧客開拓をしていけるとよいだろう。オンライン体験だと参加ハードルも低く、口コミを含めて獲得できれば未来顧客獲得につながるだろう。

 コロナ禍の中で生き残っていくことは並大抵のことではない。ただ、これまでこだわり・オモイをもった商品サービスは必ず生き残っていけると確信している。まだまだ辛い状況は続くが、ぜひこの独自化、三つのファン拡大を展開することで、事業モデル再構築の好機として、魅力的な事業を未来につなげていってほしい。

 (地域ブランディング研究所代表取締役)

 
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