オンラインツアーや体験が各所で立ち上がってきている。私も国内外各地のオンライン企画に20以上参加して、徐々に秘訣がつかめてきた。評判が高い企画にはどんな構成要素が含まれているのか、三つの観点からひも解いてみた。
【1】ご当地要素を参加型で学べる
まず、知的好奇心をくすぐる、新たな知識を身につけられるプログラムになっていることがポイントだ。まだ訪れたことのない場所でできる経験を、移動時間に関係なく気軽に短時間で追体験できることは大きい。低コストで、その土地でしか味わえない要素が最大限再現されていることがポイントだ。
ホストも専門的な情報を参加者の反応を見ながら一体となり解説していくことで、リアルなライブ感として好奇心がくすぐられていくことは効果的である。併せてチャット機能等で随時質問にこたえてくれたりすると、ユーチューブ等の一方的な配信とは違って満足度を上げられている。
【2】今、この瞬間に交流できる
次に、ホストとの新たな出会いや交流も大きなメリットとなっている。外出自粛生活で、新たな出会いが少なくなっている中、人のつながりを求めている人も多い。誰かと空間を超えて同じテーマで語ったり歌ったりしながら、時間を共有できることの価値も大きい。ホストや参加者の人柄、醸し出す雰囲気に触れることができるのは、非常に魅力的である。
【3】予想・期待以上の刺激・感動を味わえる
最後は、当初の期待や想像を上回る何か特別な仕掛けが織り込まれていると、その驚きから感動も大きなものになっている。オンラインでここまでできてしまうのかといったことや、その場の流れの中で予定不調和で起こるハプニングや演出といったことも大きな要素である。
この三つの秘訣をまとめてみると、通常の旅でも味わえる旅の醍醐味(だいごみ)といったことを、オンライン上でもリアルに再現され、それが気軽に参加できる構成になっているというのがポイントだろう。人気のある体験はこの三つをうまく織り交ぜながら展開させることで参加者に特別な時間を提供できている。つまり、オンラインであろうが、通常の体験であろうが、プログラム全体の企画力・構成力、そして参加者の巻き込み力といった観点が評価を左右しており、ホストの臨機応変な対応も鍵といえるだろう。
「withコロナ」時代は体験プログラムの大転換点となることが予想される。密を避けたプログラムになっていることも大事であるが、より期待を超える体験のプレミアム化が求められている。そこで場所に関係なく得られた顧客は深いファンとなって、必ずや未来に体験しにやってきてくれるだろう。お得という価格競争だけに頼るのではなく、ぜひこのタイミングでご当地ならではのプログラムを編集・開発し、それを提供できる人材を育て上げてほしい。そこから未来の地域応援団が形成されると確信している。
(地域ブランディング研究所代表取締役)