「Go Toトラベル」が動き始めた。観光業界においては、しっかりとした安心・安全を担保した上での旅行客受け入れは生命線である中で、理解ある流れに変わっていってほしいところである。特に9月1日からの地域共通クーポン配布こそ、鍵になると考えている。
宿とアクティビティ、レストラン、土産物店周辺施設の連携を強化し、地域の底上げにつなげていける最大の機会である。
特にアクティビティ領域の連携には大きな期待をしている。日本においては、その連携・整備は一部高級リゾートを除いてほとんどできていなかった。背景として、バブル期にホテルがバーやカラオケ、ラーメン屋等も併設して全て囲い込みを行ってきた遺産がそのまま業態としても残ってしまっていることが挙げられる。それがゆえに、宿泊施設はパンフレットや割引クーポンを配布するくらいの展開しかできていなかった。
ただ、世界の主要観光地では宿泊施設が地域全体のハブとなり、エリア内への回遊促進、エリア内の消費金額拡大といったところに大きく貢献している実績は多分に実証されている。今回、このキャンペーンを通してその連携が一気に進めば、この国の観光産業において大きな転換点になるだろう。
特に、ワーケーションも叫ばれている中で、宿泊施設が各地における滞在のベース基地となり、地域全体への回遊を促進するハブ機能を担っていければ、地域滞在の満足度向上につながっていくことが大いに期待される。
この地域共通クーポンを9月1日から実行していくことを考えると、ホテル、事業者ともに、8月中にどこまで準備できるかで成否が変わってくるといっても過言ではない。地域連携、地域滞在時間アップをしていける、これまでにない最大のチャンスだと捉えて、安心・安全基準を地域全体で担保して、連携していける地域が一つでも増えていってくれれば、コロナ後においても魅力的な場所として認知され愛されていけるだろう。
仮に9月1日に間に合わなくても1日でも早く立ち上げ、そして立ち上げた後に反応を見ながら、日々改善を重ねていけば、地域の魅力の底上げから必ず地域は再生していく。8月はそういった意味での連携強化月間だと捉えて、徹底的に地域内で協議をしていってもらえるとありがたい。
コロナ禍の影響は計り知れず、多くの方が苦労されていることには非常に胸が痛む思いをしている。ただ、3月以降で観光業界の方々も2種類の属性で対応が大きく分かれたように感じている。
影響を嘆き、手をこまねき政府に補助を求め続けて自身ではほとんど動かないグループと、日々刻一刻と変わる状況でも常にできることを考えて、アクションし改善し続けているグループの二つだ。この二極化で、アクションした方は大きく業界内でもオピニオンリーダーにまでなってきたように感じている。ぜひ、コロナ後の新たな観光業界をけん引していくような人材・地域がこのGo Toの活用側面でも出てくれることを願っている。
(地域ブランディング研究所代表取締役)