リピーターやファンづくりの重要性が増している中で、CRMの観点でのポイントシステムや会員制度等の仕掛けは最近よく語られるようになっている。また、そもそものサービスや人の魅力があってこその再訪意欲促進であることは大前提である。
これらと並んで再訪理由を提供側があらかじめしっかりと作っておいて、うまく案内することができればさらなる意欲拡大につなげられるだろう。再訪促進のために企画として織り込んでみたい変化の仕掛けを整理したい。
1、季節を変える
春企画、夏休み限定企画、紅葉企画といった具合で、他の時季だったら楽しめる要素をしっかりと伝える。そして、その旬を味わいに来訪してもらう仕掛けを考えていけるといいだろう。食材・素材・文化/風習・動植物・気候といったもののスパイスをしっかりと変えていくのも方法だ。
2、時間を変える
早朝企画、夕日企画、夜企画といった具合に、時間帯別にその時間しかできない要素をしっかりと織り込む。そうすることで、自然を背景とした企画等の演出を変えていければ、もっと感じてもらえることができるだろう。
3、場所を変える
屋内と屋外、海と山、和室と食堂、各種場所を変えるだけでも印象は異なったものになる。環境が違うと、同じようなメニューでもワクワク感が異なってくるのでその観点での演出を考えてみたい。
4、対象を変える
同じような内容でも、子ども向け、シニア向け、カップル向け、企業向け等、各種違いを準備しておく。ターゲットごとにオプションや演出の仕掛けを変えたりできれば、次は両親を連れて来たいとか、今度は社内研修で使ってみようといった需要を生んでいけるだろう。写真やプレゼントの特典を少し加えるだけでも記念日需要を拾えたりできる。
5、レベルを変える
初級、中級、上級といった具合で、レベル別の企画を組む。次はもっとハイレベルをめざしてみたいといった具合の企画を組めれば、もっとチャレンジ精神を狙うことができるだろう。
6、変化の過程に加える
オーナー制度で田植えをしたら稲刈りをしたくなるといった具合で、変化の過程を自分事として捉えてもらう。そんな仕掛けを織り込んでいければ、愛着も深まってまた誰かと来たくなるだろう。
数多くある観光地の中で、また選んでもらうための理由、仕掛けはこれらの組み合わせをしていくだけで、相当なバリエーションになっていくに違いない。各種ラインナップを増やしていくのは、オペレーションコストの増大になってしまうが、新規獲得コストの低減や全体の単価アップにつながる大きな可能性がある。
今だからこそ、このような企画に時間をかけることで、回復期を支えるモデルが構築されていくことを期待したい。
(地域ブランディング研究所代表取締役)