観光庁「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業の成果報告シンポジウムがオンラインで開催された。ウィズコロナ期において感染症対策をしっかりとして、時代の変化に対応した滞在コンテンツの在り方を実証すべく、全国で500以上の案件が採択され、実行された事業の報告会である。
全4部構成で「感染症対策」「魅力的なコンテンツ造成」「持続的な観光地経営・ファンづくり」「あたらしいツーリズム展望」に関して、観光レジリエンス研究所高松正人氏、NPO法人日本エコツーリズムセンターの森高一氏、JTIC.SWISS山田桂一郎氏ら、専門家や注目の取り組みをされた地域の方々に登壇していただき、1100人以上の方々に視聴いただく会となった。全体モデレートを私が務めさせてもらった中で、これからの観光コンテンツの在り方において、注目していきたいキーワードの数々が出てきたのでここで紹介したい。
(1)Build Back Better
災害後の復興は元に戻すのではなく、より良い形は何かを考えて、よきモデルを構築する好機とみなした対応をしていく必要がある。ハード、ソフト両面からより良い未来からの逆算で考えると、まちをより魅力的に変えられる。
(2)危機は必ず来るもの
いつでも危機が来る可能性があり、そこに備えた準備をしておく必要があることを認識すべきである。危機を乗り越える上で必要な力をコロナ期にしっかりと身につけておけば、一つの財産になって将来の危機対応力を底上げする。
(3)サステイナブルは当たり前
地域、地球の持続性を考えた対応は、できていて当たり前の概念である。水準を当たり前に担保した上で、顧客目線で本質的な感動やワクワクを期待値超えの形で提供していくことが大事。
(4)地域ビジョン共感型の観光に
地域は、めざす地域の未来像を積極的に発信すべきである。そして、そのビジョンに共感した人が、積極的に応援、体感しに来訪してくれる流れが加速されていくことが望ましい。
(5)観光客が主体的にまちづくりに関わる
観光客にも一定の責任がある。観光とまちづくりの一体化が加速している。CSV的概念が地域においても浸透し、観光客も積極的に未来づくりに関わっていく流れが構築されている地域こそ強い。
(6)観光を感幸に
観光客も地域に来ることで幸せを感じられる。住んでいる人も、来訪者も、みんなが幸せを感じられるサイクルを構築していくことが理想形。
コロナからの再生に向けて競争に突入している中で、スピードやボリュームではなく、クオリティの競争に突入している。だからこそ、今のうちにしっかりと考え抜いて早く未来ベースからの意思決定をし、丁寧なアクションをしたところがコロナ後の日本の観光をけん引してくれると期待している。
(地域ブランディング研究所代表取締役)