ウィズコロナも2年がたとうとしている。2年前の今頃は感染拡大におびえ、見えない未来に暗中模索で動き始めていたことを考えると、この2年の早さを痛感するとともに、ウィズコロナが当たり前になった世の中の変化に驚きを感じる。
一つ大きく着目したいのが、旅行客マインドの急変化に伴う対応の必要性だ。団体から個人へ、モノからコト、そしてイミ・イギへといった大きな需要変化の文脈はコロナ前から各所で語られていたが、その背景にある本質的なところに共感する層が増えている。物見遊山ではなく、何か特別なことをしたいという需要、そして自己成長、さらには自己変革というように上位の概念に移行しつつあるのが特徴だ。
自己成長、自己変革といった旅の需要は、海外の富裕層を中心に世界で広がっていたマーケットであり、日本国内でも徐々に整備が進みつつあった。コロナに直面し、海外に行けない、少人数で特別なことをしたい、常識が変化する中で人生を見つめ直したいといった需要が増えていく中で、そのマーケットへの対応に今後のヒントがあると考えている。
ここでいう、自己成長と自己変革の違いはどこにあるのだろうか? 自己成長は学びやスキルアップにより何かを習得するということに主眼が置かれる。陶芸、ダイビング、SUP、サイクリング等を通してよりレベルの高い企画にチャレンジし、自らの可能性を広げていくことに意味を見いだす。ある種、趣味としての領域を旅に求めて、それを高めていくプロセスに大きなやりがいを感じるといった流れだろう。そこから得られる達成感というものが刺激となり、また次の企画への誘因となっているのが特徴だ。
それに対し自己変革とは自らとの対話だ。人生の中で何を大事にしたいか、幸せとは何か、自分の原点がどこにあるのか。旅の中でそんな対話を繰り返し、何かの気づきを得るような時間を送ることが期待されている。自然や文化、風土、精神性といったものを熟知した上で、感じてもらう時間を大事にしていくのが自己変革の企画の特徴となる。
この二つでは、ガイドに求められる要件が少し異なる。自己成長においては、ティーチ=教える技術になる。しっかりとしたスキルや情報を分かりやすく伝え、習得してもらうことが必要だ。そして、自己変革にはコーチ=引き出す技術になる。参加者が地域という舞台をフィールドに、その地域に根付く暮らしの知恵から、自分のペースで何かを感じてもらう時間を大事にして、参加者の変革をサポートすることが必要となる。より高いガイド技術が求められることになる。
地域のサステナブルな観光事業の在り方を考えていくと、これらへの対応をしっかりと取り組んでいければ、今後拡大するアドベンチャーツーリズムや高単価マーケットに対応できるだろう。旅行客に何を提供したいのか、受け入れ側も自らの成長、変革が求められているに違いない。
(地域ブランディング研究所代表取締役)