【私の視点 観光羅針盤 394】平和産業への期待 石森秀三


 日本政府は8月15日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」として全国戦没者追悼式を開催している。今年も追悼式が日本武道館で開催され、天皇、皇后両陛下や遺族が参列して、犠牲となった約310万人の冥福を祈り、不戦の誓いを新たにした。私は大戦が終結した1945年に生まれたので、無意識のうちに「戦争と平和」を想う気持ちが人一倍強い。みすぼらしい傷痍軍人の姿や威丈高な進駐軍兵士のことがいまだに心に焼き付いている。私は社会運動家ではないが、戦争を嫌い、平和を願う気持ちを抱き続けている。

 ところが岸田政権の下で平和国家から「戦争のできる国」に向けての暴走が顕著になっている。先ず2023年度から5年間の防衛費総額を43兆円に増額する「防衛財源確保法」が国会で成立した。要するに政府は防衛費を国内総生産(GDP)比2%に倍増させる特別措置法を成立させ、世界3位の軍事大国を目指そうとしている。また岸田首相はすでに憲法の平和主義に基づく専守防衛を逸脱する敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有も決めている。安倍晋三政権の下で集団的自衛権の行使を容認した安全保障法制が制定されて以来、日米の軍事的一体化が加速しており、敵基地攻撃能力の保有も防衛費の倍増もその延長線上にある。

 しかし世論は増税に大反対なので、結局のところ防衛費増額も赤字国債の発行で賄うことになりそうだ。国債乱発が軍備拡張を招いた戦前の愚行を教訓にして戦後は防衛費への国債発行を封じてきた英明な歴史の歩みを忘れてはならない。

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