【私の視点 観光羅針盤 397】サステナブルな日本・10のテーマ 吉田博詞


 サステナブルツーリズムの促進は外せないテーマだ。日本自体を日本政府観光局(JNTO)が海外に向けて、どのように発信しているかという軸をしっかりと知ることで、造成時におけるテーマ性に関しても大いに参考になるポイントがある。JNTOが整理している内容を今一度しっかりと理解して取り組んでいければ、今後の方向性としてもマッチする要素がある。

 まずターゲットであるが、いわゆる欧米豪はもちろんだが、アジアの一部(特に高付加価値旅行者層やインテリ層)も含めて挙げられている。この層が求めるのは、その土地ならではの「本物の体験」であり、お金では買えない自分しか味わえない体験である。いわゆる「観光スポット」巡りではなく、ローカルな暮らしや自然に触れてゆったりとした時間を過ごすこと、精神的な充足感を得ることに価値を置いている。同時に、訪問地に対してポジティブな影響をもたらしたい、環境負荷を軽減したいと考えている点も、サステナブル・トラベラーの大きな特徴といえる。グローバル化・デジタル化の時代の中で「日本でしか体験できないこととは何か」を旅行者目線で改めて検討し、日本の独自性の源泉として、「自然(地形、気候)」と「自然に根ざした日本人の精神性・価値観」を中心に据え、日本での体験価値を伝えることに注力している。

 また、トータルなコンセプトとして「自然と自然に根ざした文化」が挙げられている。南北に弓なりに長い国土を有し、亜寒帯から亜熱帯まで幅広い気候帯に属していることで、亜寒帯の流氷の海、四季の変化に富む温帯の森、亜熱帯のサンゴ礁の海といった、地域ごとに異なる地形や気候が存在する。これにより多種多様な動植物の生息・生育環境や、そこに暮らす人々の文化・慣習、食文化が育まれている。その恵みとともに災害などの脅威をもたらす自然に対して、日本人は感謝と畏怖の念を抱き、自然との調和や共生を望み、日本人の精神性・価値観を醸成してきたという背景があり、トータルな日本ならではの独自の普遍的な価値として定義されている。

ペイウォール会員向け記事です。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒