【私の視点 観光羅針盤 399】住民生活を阻害しない訪問税 吉田博詞


 各所で入島税導入の動きが加速している。広島県廿日市市の宮島では、10月1日より導入され、1人当たり100円が徴収されることになる。1年分500円を払っておくという選択肢もある。島内在住者や通勤・通学者、未就学児、修学旅行等には課さない予定だという。宮島の人口は約1400人で、昭和22年の5197人と比べて大幅に減少しており、過疎指定も受けている。そんな中、コロナ前の2019年には年間で465万人の観光客が訪れており、世界遺産や国立公園としての環境保護が求められる中でも、観光客のゴミ問題や弥山をはじめとする原始林の保護、国宝嚴島神社の保全、重伝建としてのまちなみ保護といったことを考えると、財源不足の課題が発生していた。

 こちらは法定外普通税として展開されており、半年の徴税になる令和5年度で1億400万円、令和6年度以降は年間2億5千万円程度を見込んでいる。すでに国内では、沖縄県の伊是名島や座間味島等で、環境協力税や美ら島税として同じ100円を課している。また、世界遺産である西表島では入島税の導入と同時に、入島者数を1日1200人、年間33万人を上限として制限していくこと等も検討されている。

 地方税は、これまで温泉地における入湯税が昭和25年から導入され最も一般的であった。最近では宿泊税が東京都や大阪府、京都市、金沢市等全国各所で拡大している。熱海市の別荘等所有税、太宰府市の歴史と文化の環境税、泉佐野市の空港連絡橋利用税、富士河口湖町の遊漁税等、受益者に一定の負担を課すことで、地域の持続的な整備に充てられていく流れが加速している。

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