【私の視点 観光羅針盤 401】ATWS2023から見る傾向 吉田博詞


 9月に北海道でATWS2023が開催された。世界各地60の国や地域から約800名が参加しての開催となった。アドベンチャートラベル・ワールドサミットの略で、本来は2021年に開催が予定されていたものの、コロナ禍の影響でオンライン開催に変更になり、2023年にリアルでの開催として改めて実施されたものである。相当な準備がなされていた中で、運営は大変スムーズで参加した人たちの満足度は非常に高いものであった。

 今一度アドベンチャーツーリズムを簡単に整理しておくと「アクティビティ、自然、文化体験の3要素のうち、二つ以上で構成される旅行」のことである。旅行者が地域独自の自然やありのままの文化を、地域の方々とともに体験し、旅行者自身の自己変革・成長の実現を目的とする。教育水準の高い富裕層の割合が高く、平均で14日間と長期滞在を好み、用具や装備などのアウトドアギアにもこだわる層が多いことから、経済波及効果が高い。北米・欧州・南米の主要地域ではそれぞれの国内市場を除く海外での消費額のみで、推計6830億ドル(約100兆円)の経済効果があるとされている。

 参加して感じた特筆事項を、三つほど挙げておきたい。一つ目が、地域の売り込みだけでなく、日本全体としてのDMC(ランオペ)としての機能が求められているということだ。今回は日本開催ということもあって、日本のいろいろな地域の方が集まって売り込みを行っていたが、バイヤーの方からは各地の魅力は分かったけれど、私たちは日本全体を一気に任せられるフロントを求めているという声が多かった。売り込みたい気持ちもありつつ、ワンストップで一つのテーマ性で日本全体のコーディネートができるか、地域の連携を含めたあり方が問われている。

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