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ロシアがウクライナに侵攻してから丸2年の歳月が過ぎた。ウクライナでは激しい戦闘によって破壊と殺傷が続いており、国外への避難民は600万人を超えている。ロシアによるウクライナ侵攻は国際法や国際秩序に対する真正面からの挑戦であり、米欧諸国を中心にルール破りに対するロシアへの制裁が続いている。2014年にロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合した際には、当時の安倍晋三首相は北方領土問題の解決を前提にしてロシアに対して甘い対応を取ったが、今回は米欧諸国と歩調を合わせてロシアへの制裁を行っている。その結果、食料やエネルギーの高騰が生じており、影響が全世界に広がっている。
イスラエルとパレスチナの軍事紛争も継続しており、数多くの市民が殺害され、住居地が破壊されている。世界平和の実現が困難な中で「平和学の父」として知られたヨハン・ガルトゥング博士が2月17日に93歳で亡くなった。ノルウェー生まれで、第2次大戦中にナチス・ドイツに占領された際には抵抗運動を組織していた父親が親衛隊に連行されるのを目撃している。第2次大戦後に平和研究を志し、1959年にオスロ国際平和研究所(PRIO)を創設して、世界に向けて平和学を主導した。
ガルトゥング博士は数多くの功績を遺しているが、特に60年代に「消極的平和(negative peace)」と「積極的平和(positive peace)」を区別して提起したことが重要だ。前者は「単に戦争のない状態」を意味し、後者は「戦争の原因となる構造的暴力(貧困や差別や格差など社会的構造に根ざす暴力)がない状態」を意味している。博士は60年以上にわたって、「積極的平和の希求」をライフワークにして世界各地で構造的暴力の根絶を目指して実践的な平和活動に専念して生涯を終えた。
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