【私の視点 観光羅針盤 427】 道路運送法における無償運送の定義改定 吉田博詞


 今年3月1日に国土交通省物流・自動車局旅客課より出された「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」が話題を呼んでいる。シンプルにいえば、地域の移動手段の確保が困難になってきた観点を鑑みて、宿泊施設、ツアー提供者、ガイドの送迎や付随送迎における厳しい規制が一気に緩和され、許可や登録なしにできる運送行為の範囲が広がったということだ。これまでの道路運送法や旅行業法等の法律に伴う規制が緩和され、地域における来訪者の移動が改善されることは、コスト軽減、移動中の会話から得られる満足度向上等の波及効果を生み、大きなメリットが期待できる。

 本ガイドラインに記載されている背景や目的をしっかりとひも解くとより理解が深まる。そもそも「ラストワンマイル・モビリティ/自動車DX・GXに関する検討会」での議論内容が発端でもあるようだ。自動車での移動をもとに、日常生活の維持、地域活性化、観光振興、教育を受ける機会確保、医療介護関連の移動を考えた際に、本来は公共交通の活用が第一義であるという前提は変わらない。しかし、高齢社会の進行や共働き家庭の増加、多様な観光客の来訪等を考慮すると、地域の互助活動やボランティア活動による運送、自家使用の自動車による運送等にも一定の役割を持たせないと、社会・経済活動の維持が困難になることも現実であるということが背景にあるようだ。要は、この春のライドシェアの一部解禁と合わせて地域移動全般の規制も同時に緩和されたと理解できる。

 特に、宿泊施設やツアー提供者関連のポイントは注視したい。

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