【私の視点 観光羅針盤 437】オーバーツーリズムと二重価格 吉田博詞


 オーバーツーリズム、インバウンド客の増大、円安等、問題が山積する中で、一つの商品に対してインバウンド客と国内客で価格を変える二重価格の検討が議論に上がり始めている。その可能性や展望に関して整理してみたい。

 まず、背景を整理してみたい。超円安の中で日本の各種価格が破格となっているため、訪日観光客は多くの商品を非常に安価に感じている。また、事業者側はより高収益を狙って上位企画を作りたいと考えている。さらに、日本語対応だけでなく、多言語対応が必要となるとそれに伴うコストが増加し、一定の対価が求められる。訪日観光客の増加による行列や混雑をコントロールするためにも価格設定を変える必要性が出てくるだろう。

 最近では、訪日観光客が来訪客の30%を占めている姫路城で二重価格の導入が検討され、現状の千円の入城料金を4倍程度に引き上げる案が報道され話題になった。そもそも二重価格に関する世界的な考え方を見てみると、主要な世界遺産施設の入場料が安すぎるという問題に対して、料金設定を高くして、その分国内や地元民、学生等の割引をするケースは世界的にも珍しくはない事象である。例えば、ルーブル美術館は欧州経済領域住民なら25歳未満が無料であり、シンガポールのナショナルミュージアムやハワイのダイヤモンドヘッドは地元住民のみ無料、エジプトのピラミッドは約9倍、インドのタージマハルは約20倍、ヨルダンのペトラ遺跡は約50倍の差がある等、主要な世界遺産やミュージアムにおいては一つのスタンダードになっている。

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