【私の視点 観光羅針盤 463】ローカルガイド活躍のフィールド 吉田博詞


 令和6年度補正予算や令和7年度の通常予算等の情報がより具体化して、公募等が開始される時期となってきた。観光庁予算としては、530億3300万円で前年度比5.4%増である。これらは令和7年度が3カ年計画の最終年度となる「観光立国推進基本計画(第4次)」に沿った形で、これまで通り「持続可能な観光地域づくり」「地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組」「国内交流拡大」の3柱に取り組む内容を計上。原資として国際観光旅客税から441億円が充てられている。令和6年度補正予算では、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた緊急対策の158億2千万円を含む543億2400万円が計上されている。

 この中で興味深い取り組みとしては「ローカルガイド人材の持続的な確保・育成」や「観光コンテンツ事業者の収益性改善モデル構築事業」といった地域の受け入れにおける人的・事業的な支援が挙げられる。

 特にローカルガイドという概念では、令和6年度に展開された「地方部における観光コンテンツの充実のためのローカルガイド人材の持続的な確保・育成に向けた有識者会議」のとりまとめ骨子案が1月に報告されている。ポイントとして、富裕層等がターゲットの特別なガイドは別として、ローカルガイドを3類型に分けている。ガイドツアーの販売元である体験商品事業者(観光コンテンツ事業者)とローカルガイドの関係を(1)ローカルガイドが体験商品事業者の社員として所属している(2)体験商品事業者が外部のローカルガイドに委託をして体験商品を提供する(3)ローカルガイド自身が体験商品事業者を兼ねる―という3区分で整理している。なお、(3)は事務負担が多いので、基本は(1)(2)を強化していくべきだという方向で示されている。

 また、ローカルガイドの持続的な確保・育成に向けて(1)ローカルガイドの担い手の裾野拡大(2)ガイドの育成・質の向上(3)安定的な需要づくり(4)就労環境の改善(5)観光コンテンツの商品としての磨き上げ(プロダクツ化)―の五つの取り組みが挙げられている。

 これらを確実に進めていければ、今後の地域滞在における満足度向上に、多分に貢献していくと考えられる。各地におけるガイドの課題として、地域認定ガイド等の事業こそあっても仕事がないといったことや、逆にコンテンツ提供者においては、ガイド確保や育成が追い付いていないといったミスマッチが続出している。

 その解決のために本有識者会議のまとめの取り組みが各地でしっかりと展開されることが期待される。特に、DMO等が中心となって立案した観光誘客戦略に基づく、滞在コンテンツの在り方が関係者間で共通認識化され、コンテンツ提供者およびローカルガイドのより良い役割分担のモデルが企画ごとに確立・運用されていくことを願いたい。

 ローカルガイドは憧れの職業になってしかるべきである。各地域の在り方が整理されていく年になっていくことを期待している。

(地域ブランディング研究所代表取締役)


(2025年2月17日号連載コラム)

 
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