
大阪・関西万博が4月13日より始まった。当初準備が間に合わないかもしれないという話もあったが、ふたを開けてみると、さすが日本、準備をほぼ間に合わせたのはお家芸といってもよいだろう。初日の来場者数は11万9千人と、まずまずの数字を見せている。前売り券の販売数は約1170万枚で、目標であった1400万枚には届いていないようだ。最終的な来場目標は2820万人である。これらの数字の参考までに、過去の万博について振り返ってみたい。
まずは1970年の大阪万博の数を見てみよう。最終的には約6400万人が来場し、当初予想の2倍、日本国民の6割にあたる人が来訪したことになる。当時の大阪万博がいかに社会的ブームになり、波及効果も大きなイベントだったかがうかがえる。
次に、2005年の愛・地球博のケースを見てみよう。最終的に2204万9544人が来場し、目標1500万人を大きく上回る大成功となった。事前のチケット販売数は目標800万枚に対して、期日を待たずに早期達成され、事前販売は順調に推移。1日あたりの入場者数で見ると、9月以降は大きな伸びを見せており、18日の28万1441人が最高で、最少入場者数は3月25日の4万3023人であった。
今回の大阪・関西万博では1日あたりの来場者数の最大を22万7千人としており、来場予約の状況に応じて当日券の販売も予定しているという。愛・地球博のケースを見ると終了間際は非常に混み合う傾向があるようなので、10月13日までの期間では9月中旬以降は混雑が予想されるだろう。
海外からの来場者数の目標は350万人とされている。実際に私が海外の旅行会社等で話をした際にも「万博のタイミングでぜひ日本に行くよ」という声が寄せられており、一定の期待があることを実感している。
万博の機運もあり、大阪では2023年以降、外資系ホテルが10軒以上オープンしており、米ヒルトンの最上級ブランド「ウォルドーフ・アストリア大阪」、シンガポールの「パティーナ大阪」と開業が続く。1泊100万から200万円する部屋も続々と登場し、単価の上昇も見られ、今後の飛躍に向けた大きな機会となっていくことは間違いないだろう。
今回の万博に関しては失敗するのではないかとの声も出ているが、2019年のラグビーワールドカップを思い出してもらいたい。当初の冷めたムードが、日本代表の大きな活躍もあり、ブームになっていったことは記憶に新しい。初動は冷めがちな日本だが、よいものに関しては感動の連鎖から大成功に至ったものである。
多くの課題がある中でも、開催までこぎつけた関係者の苦労は相当なものだったと推察する。指摘されている課題は日々克服をし続けてくれるだろう。すでに参加した人からは「想像以上によかった」との声も寄せられている。
今回もきっと最後には成功に至ったと関係者含めて喜び、そのレガシーが日本の観光産業によい波及効果をもたらす流れが出来上がる姿を半年後に見てみたい。
(地域ブランディング研究所代表取締役)
(観光経済新聞25年4月21日号掲載コラム)