皆さんが、会社組織や個人組織として事業を営んでいるとして、その組織からどのように利益を分配してもらえるのだろうか。
例えば、個人組織(以下、個人事業主という)では、どのように分配をもらうのか。それは、仕入代金や経費の支払い、納税等の問題がなければ、事業から得た金銭はすべて分配を受けることができる。
それでは、会社組織(以下、法人事業主という)ではどうだろうか。個人事業主のそれとは、違う。法人事業主が当該法人の株式を持っている場合(会社のオーナーだった場合)、その株主として、配当を受けることができる。では、そうでない場合はどうであろうか。そう、給与(役員報酬)として、分配を受けることができる。ここで、少し話がそれるが、一般の従業員の給与と役員として受ける役員報酬は何が違うのか…。従業員給与の場合は、一定の労働の対価としての金銭の支払いを受けるものである。一方、役員報酬は、株主から経営を委任されたその委任の対価としての金銭の支払いを受けるものである。労働者かそうでないかという違いがあり、一般の従業員は労働基準法などでその地位が守られている。役員はそのような法的な保護はなく、逆に法人に何かあった際に、一定の責任を負わなければならない。
さて、話を元に戻そう。役員報酬として法人から分配を受けることができる、というものだった。では、その役員報酬はいくらでもいいのか? 基本的には、いくらでもいいが(税法上の一定の縛りはある)、毎月、一定の額でなければならない。利益がたくさん出たからといって、それを上乗せして分配したり、長時間仕事をしたからといって、残業代のようなものを支給してはならない。法人事業主は、責任も重ければ、利益の分配も自由に受けられない、つらい立場である。
(髙村税理士事務所代表、髙村健一)