65歳以上の人口が総人口に占める割合を高齢化率と言うが、これが21%を超えると超高齢社会とされ、我が国では遡ること10年前の2007年に、その範疇に突入したそうだ。
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連・北原茂樹会長)では、こうした高齢化を見据え、1993年から「シルバースター登録制度」を推進している。
これは、高齢者が快適に過ごせ、全ての人が利用しやすい「人に優しい宿」を目指し、設備・サービス・料理面で一定の基準を満たす宿を登録する制度。登録施設なら車椅子でもOK、高齢者に配慮したメニューも提供してもらえるというお墨付きである。
この制度を運営する、全旅連シルバースター部会(多田計介部会長)が、このたび登録施設全787軒を記載したガイドブックを発行した。これさえあれば、高齢者だけでなくその家族も、安心して旅を楽しめる宿を見つけられる。
その作成に際し、全国の登録施設一覧だけでなく、何か面白い仕掛けをということになり、不肖筆者が8ページにわたってコラムを書かせていただく運びとなった。美しい風景を観る、史跡巡りをするなど、旅の魅力はさまざまあれど、その土地ならではのおいしいモノを食べるというのも楽しみの一つ。…というわけで、日本全国各地「アレ食べに行こう!」というテーマについて書くことに。
だが、一体どんな食べ物について書くのか? 農林水産省が「農山漁村の郷土料理百選」を選定した際、最初に候補に挙がった料理は、何と1650品にものぼったという。エライこっちゃ!日本全国津々浦々、おいしいモノだらけだ。
そこで、ご当地料理として人気の高い「鍋モノ」と「麺モノ」に絞り、おススメ料理を選んでみた。誌面の都合でかなり限られてはいるが、北海道の石狩鍋に始まり、「B―1グランプリ」でお馴染みの八戸せんべい汁や、6メートルもの大鍋で振る舞うフェスティバルが例年ニュースになる山形の芋煮鍋、牡蠣の土手鍋や水炊きなどの鍋料理と、「日本三大そば」と言われるわんこそば・戸隠蕎麦・出雲そばや、へぎ蕎麦、讃岐うどん、博多ラーメン、長崎チャンポン、沖縄そばなどの麺類、合計26種類の料理と、同じく全国各地で造られている日本酒について書かせていただいた。
例えば、関西でフグは「たまに(稀に)当たる」ことから「てっぽう」と呼ばれ、てっぽうのちり鍋だから「てっちり」と呼ぶといったウンチク話や、ほうとうは饂飩と違って小麦粉を練る際に塩を加えないため、生のまま煮込むから汁にとろみがついてウマイといった料理の特徴などをご紹介したこのコラム。タイトル通り「アレ食べに行こう!」と思っていただけたら、筆者冥利に尽きる。
ちなみに、このガイドブックは各登録施設でご覧いただける。
次はどこへ行こうかな?とお考えの皆さまにとって、おいしいモノを見つける旅の、行き先選びの一助になればと願っている。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。