先日、初めて北欧を訪れた。森と湖、サンタクロースやオーロラなどのイメージがあるが、その食事情は一体どうなっているのか? 今回の旅先、フィンランド・スウェーデン・デンマークの3カ国で探った。
北欧料理というと、かつてはあまり評判が良くなかったが、現在では「食の最先端」と言われるまでに。その秘密は「新北欧料理」を牽引して来たデンマークで解き明かすことにして、最初の訪問地フィンランド共和国の首都ヘルシンキでは、北欧伝統料理を食べてみよう!と、レストラン「シーホース」へ。
1934年の創業以来レシピを変えていないという、フィンランド伝統料理がウリの同店でいただいたのは、まず前菜にニシンプレート。いわゆる酢漬けと、茹でたジャガイモ、みじん切りの生玉ネギ・キュウリとビーツのピクルスなどが盛り合わせてある。ニシン自体は肉厚でとても質が良いのだが、筆者にはちと味付けが甘かった。
前菜2品目は、同店の名物料理「ボルシュマック」。「羊のひき肉とアンチョビを使ったフィンランド料理」という解説が記載されていた。先程のニシン同様、みじん切りの生玉ネギやピクルス、マッシュポテト、サワークリームが盛ってあり、ひき肉と混ぜていただく。配合によっては微妙だが、羊のミートソース的な部分は好みのお味。
魚料理の王道サーモングリルを挟んで、メイン一皿目は「フィンランド伝統ミートボール」。リハプッラと呼ばれる、すりおろしたジャガイモ入りのミートボールにブラウンソースがここの定番らしい。最後は「トナカイのフィレ肉ステーキ」。クセもなく超軟らかで、思いの外美味。ワインソースもグッド。
今回どうしても食べてみたかったのが、スウェーデンとフィンランドの夏の風物詩、ザリガニ。解禁シーズンの夏、人々はザリガニ・パーティーを楽しむという。ほとんどの場合家庭で食すため、レストランでは事前予約が必要なことが多いという情報があったから、もし見つけたら食べるしかない!と考えていた。ランチの店を探していたら、フィンランド語で内容はサッパリ分からないけれど、ザリガニの画像が大きく出ているHPを発見、とりあえず行ってみた。
スタッフに聞くと、今日あるかどうか分からないと言われたが、キッチンに確認してくれたらラッキーなことに入荷しているとのこと。折角なので大小2サイズをオーダーした。茹でてから一旦冷やされ、ディルが添えられたザリガニ登場。見事なまでに真っ赤だ。あまり食べるところはないと聞いていたが、大きなサイズは爪までいただけた。身の味は、海老のようでもあり、カニのようでもある。頭の部分のミソもコクがあってウマイ。なるほど、北欧の人々が短い夏の間ザリガニに夢中になるのも分かる気がする。
お次はスウェーデン、ストックホルムへ。どんなお料理が待っているのか? 次号をお楽しみに!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。
ニシンプレート
ボッシュマック
サーモングリル
フィンランド伝統ミートボール
トナカイのフィレ肉ステーキ