この夏、レモンサワーがムチャクチャ流行った。メニューに加える飲食店が一気に増え、ついにレモンサワー専門店まで登場した。レモンサワー発祥の地と言われる中目黒では、今月「レモンサワーフェスティバル」が開催される。
家飲みする人も多いようで、おいしい作り方を解説したネット記事も山ほどある。作り手がプロでも素人でも、イマドキのレモンサワーって、単に焼酎に炭酸とレモン果汁を入れるだけじゃなくて、かなりのバリエーションがある。
進化系と称されるそれらは、レモンを凍らせて氷の代わりに使ったり、凍ったレモンを皮ごと擦りおろして入れたり、同じく一時期ブームになった塩レモンをアクセントに使ったり、イタリアのレモンリキュール「リモンチェッロ」で甘さをプラスしたり…と、実にさまざま。
でも、そもそもレモンサワーって、レモンハイのことでしょ? とツッコミたくなる。焼酎の「チュー」とハイボールの「ハイ」を組み合わせたとされる「チューハイ」は、焼酎を炭酸で割った飲み物である。
レモンを入れればレモンハイなのだが、柑橘類を使う場合、酸味を意味する「サワー」と呼ぶことが多いのだ。
話はそれるが、チューハイに使う甲類焼酎って、「本格焼酎」を名乗る乙類の原料が芋や麦や米と分かりやすいのに比べて、何からできているのか? どうも得体の知れないアヤシイ雰囲気を持っている。
だが最近、体に良いと言われ始めた。なぜなら、焼酎には糖質やプリン体が含まれていないため、ダイエット中の人や痛風が心配な人でも気にせず飲める上、甲類の場合レモンや烏龍茶など、体にプラスに作用するもので割ることで、健康的な飲み物になるというのだ。例えば芋焼酎のように芋臭さがある乙類焼酎には、できない芸当だ。
話を戻そう。純度の高いアルコールゆえにクセがない甲類焼酎、だったら皆同じ味わいなのかと思うと、そうでもないらしい。1984年に缶チューハイを発売したチューハイのパイオニア、宝酒造のラインアップを見てみると、チューハイにふさわしい甲類焼酎が、何と9種類もあるではないか! そして驚くことに、「レモンサワー用焼酎」なるものも存在するのだ。レモン系の香り成分を含むハーブを原材料の一部に使用することで、レモンサワーに最適な酒質を実現したという。
店で飲む機会もないし、自分で作るのは面倒、という場合は缶チューハイという選択肢になるが、これだけいろいろと趣向を凝らしたレモンサワーがあるのに、何だか芸がないなぁ、と思う。
そんな時うれしいのが、宝酒造の壜(びん)入りプレミアムチューハイ「産地の恵み・小笠原島レモン」。小笠原諸島母島産の希少な島レモンの果汁を使用、その爽やかな香りと果実味がしっかりと味わえる。
レモンサワーについてアレコレ考えているうちに、秋の夜長は更けて行った。もう一杯飲もうかな。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。