北海道大学(札幌市)は2007年4月に国立大学初の観光分野の大学院として国際広報メディア・観光学院を設置。これまでに15期661人の修士課程修了者と77人の博士号取得者を輩出している。
19年度には従来の2専攻を「国際広報メディア・観光学専攻」として一専攻化。メディア研究と観光研究の融合を掲げ、SNSが旅行行動に与える影響、自治体による観光プロモーション戦略、アニメを通じた観光振興など、幅広い分野の研究が展開されている。
社会人向けには、修士課程と博士課程に加え、17年度に履修証明プログラム「デスティネーション・マネージャー育成プログラム」を開設。国が進める日本版DMOの中核人材の育成を目的に、JTB、エバー航空日本支社、乃村工藝社、一般社団法人札幌観光協会、公益財団法人札幌国際プラザなど、観光の最前線で活躍する実務家教員による実践講習と大学院修士課程の各講義を組み合わせた多角的で専門性の高いカリキュラムが提供されている。
さらに、実践性の高い教育、研究の推進を掲げ、企業や自治体との連携も強化。美瑛町やニセコ町、JTB、北海道日本ハムファイターズ、ヤフーとの共同研究や教育連携も展開されている。
学生やプログラム受講生のバックグラウンドが多様なことも同専攻の特徴。北海道大学内部からの進学に加え、道内外の他大学からの進学も多い。留学生は、中国、台湾、韓国、インドネシアといったアジア各国・地域だけでなく、フィンランドやグアテマラなど、世界各国から観光とメディアの融合研究を志す学生が集まる。
また、北海道の雄大な自然を体感できる緑豊かなキャンパスでありながら札幌駅の目の前という全国でもトップクラスの交通利便性を確保。働きながら履修可能な夜間・週末開講やオンラインでの講義も充実し、旅行業、運輸業、宿泊業、自治体、DMOで現役で活躍する社会人学生も多い。
5G(第5世代移動通信システム)の登場による情報通信社会の進展、そしてウィズ・コロナの時代に定着しつつあるニューノーマル。メディアと観光の融合研究を展開する同大学院で新しい時代における観光のあり方について思考を巡らせたい。
現地での演習講義も豊富(北海道中標津町)