【観光の学校特集2024】江戸川大学 


崎本教授

教育理念は「人間陶治」

 江戸川大学は千葉県流山市の駒木キャンパスで観光教育を行っている。流山おおたかの森駅(つくばエクスプレス・東武アーバンパークライン)から無料スクールバスで6分、徒歩だと18分の便利な場所に立地している。

 同大のルーツは1931年設立の城東高等家政女学校。「教養ある堅実な女性の育成」を教育理念とし、その指針として「誠実」「明朗」「喜働(きどう)」の三つを掲げた。現在、学校法人江戸川学園は、1990年に開学した江戸川大学をはじめ小・中・高・専門学校の計7校で、約7千人の学生、生徒、児童が学ぶ総合学園となっている。

江戸川大学としての教育理念は「人間としての優しさに満ち、普遍的な教養と時代が求める専門性により社会貢献できる人材の育成」。つまり「人間陶冶」を掲げている。「情報力を磨き、国際力を育てる」ため、同大学では開学以来、学生全員にノートパソコンを無償貸与。ハイレベルな留学を支援する奨学制度「グローバル・スタディ・プログラム」も整う。同プログラムは、「入学時英検2級以上で初年次学費35万円減免+夏季海外研修費用免除」「留学費用約300万円を大学が全額支給」「帰国後の学費55万円減免」と極めて手厚い。

 同大は、社会学部(現代社会学科、人間心理学科、経営社会学科)とメディアコミュニケーション学部(マス・コミュニケーション学科、情報文化学科、こどもコミュニケーション学科)の2学部6学科制。観光教育は社会学部現代社会学科(定員80人)が担っている。

 同学科は「観光学ゼミナール」「テーマパーク・観光まちづくり学ゼミナール」「文化人類学ゼミナール」「民俗学ゼミナール」「環境学ゼミナール(くらしと地球環境)」「環境学ゼミナール(自然共生社会)」「博物館学・文化遺産学ゼミナール」「食文化・レジャー学ゼミナール」「スポーツ社会学ゼミナール(競技)」「スポール社会学ゼミナール(公共)」の10ゼミナールを10人の教員が担当している。

 観光学ゼミナールを担当する学科長の崎本武志教授は「現代社会学科の10ゼミナールは全て『観光』というキーワードで繋がっています」と話す。同教授はJTBの出身。日本国際観光学会の会長、鉄旅オブザイヤーの審査委員も務めている。

 「社会学部現代社会学科では、社会学を基盤にした基礎的な知識とフィールドワークの調査手法を身につけ、多様な研究領域から社会の課題解決にアプローチ。『現場で学び、問題に切り込んで常識を疑い、解決策を提示する』という一連の流れを重視しています。『地域社会(ヒト)』『資源(モノ)』『制度(しくみ)』という三つの視点から現代社会を捉える力を養うとともに、実際に現地を訪れて調査研究を行う『フィールドワーク』で、調査力、発見力、考察力、マネジメント力、解決力を身に付けます。3年次からは10の研究領域から興味関心にあったゼミナールを選択し、自身の研究テーマを探求していただきます」(崎本教授)。

崎本教授

 

 各ゼミナールでの取り組みはユニークだ。

 観光学ゼミナールのフィールドワークでは、JR東日本の柏駅と連携して、JRの駅を基点に周辺地域の魅力を楽しむイベント「駅からハイキング」に参画。スタッフとして参加し、当日の受付、スマホアプリの利用方法の案内なども行い、ホスピタリティを実践で学ぶ場ともなっている。

 「テーマパーク・観光まちづくりゼミナール」は大塚良治教授が担当。「まちでのフィールドワークを通して、地域活性化に対する理解を深めています。受講生には地域活性化策を作成してもらい、行政などへの提案につなげています。ゼミナールでの学びが地域課題の解決に結びつくよう努めています」(大塚教授)。

 土屋薫教授は「食文化・レジャー学ゼミナール」を担当。「食の問題は、観光の分野ではカリナリーツーリズム、フードツーリズム、ガストロノミーツーリズムといった言葉で語られますが、『食文化・レジャー学ゼミナール』は、グローバリゼーションに伴うマクロな視点だけでなく、個人のライフスタイルに関わるミクロな視点からも、食の問題に焦点を当てようとするものです。その意味ではキッチンカーやポップアップ、間借り営業も対象として視野に入れています」と同ゼミの特色を話す。

 「スポーツ社会学ゼミナール(公共)」担当の野上玲子講師は2023年の同ゼミの活動内容について「サッカーやラグビーなどのプロスポーツの現場へ行き、ボランティア活動を通じてスポーツと社会とのつながりをフィールドワークしている。昨年は福島県を訪れ、震災直後のJヴィレッジの取り組みや、復興に挑戦する企業の方々の話を聞くことができ、スポーツの価値を再認識する実習となりました」と振り返る。

 文化人類学ゼミナール(川瀬由高准教授)では台湾に、環境学ゼミナール(中島慶二教授・奥山正樹教授)では上高地にそれぞれフィールドワークに行き、学生からも好評を博している。

 同学科の卒業生の就職先は、エイチ・アイ・エス、クラブツーリズム、リゾートトラスト、東横イン、日光・鬼怒川リゾート鬼怒川温泉山楽、稲取赤尾ホテル、伊東園ホテルズ、休暇村協会、グリーンホスピタリティーマネジメント、東京エアポートレストラン、ジャルロイヤルケータリング、JR北海道、秩父鉄道、東急バス、リムジン・パッセンジャーサービスなど。観光・観光関連業界へ確実に人材を輩出している。

江戸川大学の外観

江戸川大学社会学部現代社会学科

江戸川大学LINE公式アカウント

1分で分かる!江戸川大学の学びの魅力を先生が解説!


関連キーワード
 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒